「同い年の日本ハムの大谷(翔平)投手とは、『翔平』『ジャスティス』と呼び合う仲だとか?」
5球団競合の末にソフトバンクが引き当てたドラフトの目玉、創価大・田中正義(せいぎ)投手は中継したTBS系列局アナウンサーにそう問いかけられると、微妙な笑みを浮かべた。
田中と大谷は昨年末、偶然ジムで出会い同世代とあって意気投合。連絡先も交換したが、互いの呼び方は正しくは『翔平』、『正義』だ。
“正義”を意味する『ジャスティス』の呼び名はネット界隈で生まれ、プロのスカウトやアマ野球担当記者が乗っかり隠語のように呼んでいたに過ぎないが、地上波生中継で一気に市民権を得た格好となった。
「そう呼ばれたことはないっすね」という田中自身も、「今までは『せいぎ』ばかりであだ名がなかったので、何でもいいっす」と半ば投げやりながら公認した。
ドラフト直前まで論議を呼んだのは、春に負傷した右肩の状態。だが、本人と周囲は完治していると強調する。
創価大の岸雅司監督(61)は「改善が必要なのは肩よりも、むしろ下半身。7月に肉離れを起こした影響で走り込みができず、下半身が弱いから、この秋は直球が走らない。2年から3年の一番いいときに比べたら60-70%くらいじゃないかな」と分析する。イマイチ調子が上がらない原因は右肩の故障ではなく、下半身の調整不足だったというわけだ。
右肩についても、「去年の11月くらいに、やり過ぎると体のしなりがなくなると考えてウエートトレーニングの量を減らした。結果的に肩の筋肉が落ち、2月にその状態で投球練習をしたら炎症がおきた」。原因は解明済みと強調する。
自身の運命を左右するこの日も午前の練習後にジムへ直行。3時間ほどみっちりと汗を流した右腕。同じ失敗を繰り返さない覚悟をにじませた。 (片岡将)