巨人のドロ仕合が菅野日本ハム入りの背中を押す
【野球】
2011年11月17日 掲載
去る7日、日本ハムから指名あいさつを受けた菅野智之(22)はこう言った。
日ハムに行くべきか、あるいは浪人や社会人を経ても巨人にこだわるべきか、家族の中でも意見が割れている。菅野サイドは必ずしも一枚岩ではないということだ。
「菅野の父・隆志さんは日ハム入りがベストだと考えるようになったと聞いています」とアマチュア野球担当記者がこう続ける。
「巨人入りのレールが敷かれていたことは事実ですけど、日ハムの指名で事情が変わった。隆志さんは法大時代、肩を壊して途中で野球を断念した経緯がある。浪人や社会人入りした場合のリスクは身をもって知っているだけに、最高の評価をしてもらえるうちにプロで勝負してもらいたいのでしょう。日ハム入りを拒否して、これから先、ずっと密約、デキレースといったマイナスのイメージが付きまとうことも危惧してます」
本人はもともと巨人で伯父さんとプレーするより、プロ野球選手になりたいという希望が強いらしい。そして父親もすぐにプロの世界で勝負することを望んでいる。だとすれば、日ハム入りを強硬に反対しているのは「アメリカに行かせる方法もある」とか「大学院に行かせてもいい」と公言している祖父の原貢氏(東海大野球部顧問)ということになる。
「菅野サイドは今月下旬をメドに、日ハムに連絡を入れる予定になっている。断るという意思統一がされているなら、そこまで引き延ばす理由がないし、むしろ日ハムに対して失礼になる。現時点では担当スカウトの岩井さんのところにも、行かないとか申し訳ないといった意思表示はしてませんしね。今月下旬というのは、おそらく本人や親御さんが原貢さんを説得するのに時間がかかるということ。あそこまで強硬に浪人だ、社会人だと言っているそばから、本人や父親がまったく逆のことを言い出せるはずもありませんから」(前出の記者)
そうやって本人と父親が「日ハム入り」にグラリと傾いたところに起こったのが今回の巨人の内紛劇だ。
伯父さんの原監督は15日、桃井オーナーから2年契約を提示され合意したものの、来季勝てなければ1年限りでクビになることが明らかになったばかり。大学院に残って浪人したとしても、再来年、伯父さんと一緒にプレーできる保証はどこにもない。
まして巨人は、球団会長とGMがドロ仕合の真っ最中。内部がグチャグチャであることを世間に知らしめたばかりだ。そんな球団へ行って野球に集中できるのか。子を思う父親であれば、何が何でも義父を説き伏せようとするのは確実。巨人の内紛が逡巡する菅野父子の背中を押すことになる。