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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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「リベラル21」というサイトから転載。
娯楽映画の評価が低く、芸術映画の評価が高いのかとも思ったが、「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」が割と高い順位にあり、昔ならかならず高い順位にあったベルイマンなどがベスト10外である。フェリーニでも、「道」より「8 1/2」が上など、わけがわからんし、ヒッチコックの中では愚作と思う「めまい」がベスト10入りするなど、わけがわからん。しかし、「東京物語」がベストワンというのは、やはり日本人としては嬉しい。しかし、これを選ぶなら、なぜベルイマンの「野いちご」が上位に来ないのか。映画界全体が幼稚化し、「文学青年」的な「映画青年」が主流になり、娯楽と文学性の止揚された本当の名作を理解する能力が無くなっている気がする。ベスト3の作品は、或る意味、「これを挙げておけば無難」という作品に票が集まった結果に見える。つまり、「他人を気にしながら投票した結果」だというのは私の邪推だろうか。というのは、これは記名投票であったらしいからである。下手な作品を選んだら、笑われると思ったから、相変わらずの「2001年宇宙の旅」や「市民ケーン」などが上位に来たのではないか。もちろん、これらが名作であることは確かだが、本当の名作は、キューブリックなら「時計仕掛けのオレンジ」の方だろう。「市民ケーン」になると、これは惰性でいつも上位に来ている作品としか思えない。いや、名作なんだが、普通人がこれを見て感心するはずはない作品であり、まさに批評家のための映画としか言えないと私は思う。



(以下引用)



2012.08.25 世界映画史上のベストワンは『東京物語』
―英映画専門誌の監督投票で―
          
半澤健市(元金融機関勤務)

 英国映画協会(British Film Institute)発行の映画専門誌「サイト・アンド・サウンド」(Sight & Sound)は、「世界映画史上ベスト作品」の集計結果を発表した。同誌は1952年から10年に一度、専門家によるベスト作品を選んでおり今年は7回目になる。投票は、「映画監督」358人と「批評家」846人によって別々に行われた。批評家には、研究者、アーキビスト、評論家、映画業界人を含む。投票者はグローバル化しているが、結果はなお欧米中心となっている。ともあれ現在、世界で最も権威ある映画順位評価とみられている。二種の投票結果の上位10位は次の通りである。

■ 監督投票による世界映画のベストテン(英Sight & Sound誌、2012年9月号)
 順位 映画名          公開年     監督       投票数
 1.東京物語(日)      1953  小津安二郎       48
 2.2001年宇宙の旅(米) 1968  S・キューブリック 42
 2.市民ケーン(米)     1941  O・ウエルズ      42
 4.81/2 (伊)      1963  F・フェリーニ     40
 5.タクシー・ドライバー(米)1976  M・スコセッシ     34
 6.地獄の黙示録(米)    1979  F・コッポラ      33
 7.ゴッド・ファーザー(米) 1972  F・コッポラ      31
 7.めまい(米)       1958  A・ヒチコック     31
 9,鏡(ソ連)  1974  A・タルコフスキー 30
10.自転車泥棒(伊)     1949  V・デ・シーカ     29

■ 批評家投票による世界映画のベスト50(10位まで表す、出所は同上)
 順位 映画名 
 1.めまい
 2.市民ケーン
 3.東京物語
 4.ゲームの規則(仏)    1939  J・ルノアール
 5.サンライズ(米)     1927  F・W・ムルナウ
 6.2001年宇宙の旅(米)
 7.捜索者(米)       1956  J・フォード
 8.映画カメラを持つ男(ソ連)1929  D・ヴェルトフ
 9.裁かるゝジャンヌ(仏)  1927  C・T・ドライヤー
10.81/2

《監督投票で日本映画が初めて第1位に》
 今年のハイライトは、小津安二郎の「東京物語」が、監督投票ベストテンのトップに、批評家投票でも第3位に入ったことである。日本映画の第1位は、この調査70年の歴史上で初めてである。
「家族の絆が静かに崩壊する。それを諦観とともに比類ない映像で描く」。評者の小津作品観を要約するとこうなる。日本的といわれる小津の普遍性が評価されているのである。「東京物語」に一票を投じた監督には、ウディ・アレン、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラらの名前がみえる。

批評家の投票結果は235位までわかる。そのなかの日本作品を順不同で記す。
「七人の侍」「羅生門」「生きる」(黒澤明)、「生まれてはみたけれど」「晩春」「麦秋」(小津安二郎)、「雨月物語」「山椒大夫」「残菊物語」「西鶴一代女」(溝口健二)、「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」(宮崎駿)、「浮雲」(成瀬巳喜男)。タイトルは略すが、山中貞雄、清水宏、小林正樹、新藤兼人、今村昌平、深作欽二、大島渚、松本俊夫、鈴木清順らの作品も得点している。しかし今井正、木下惠介、吉村公三郎、渋谷実、豊田四郎、五所平之助などの名前がない。

《異なる東西の評価と大きな順位変動》
 一方、日本のファンが好む外国映画が意外な低位置にいたり、過去70年間で順位が大きく変動したものがある。批評家ランキングで例示すれば、「モダンタイムス」(63位、以下同じ)、「第三の男」(73)、「天井桟敷の人々」(73)、「アラビアのロレンス」(81)、「カサブランカ」(84)、「赤い靴」(117)、「しのびあい」(154)、「怒りの葡萄」(183)、「道」(202)という具合である。
順位を下げたのは、「街の灯」(52年2位から今回50位)、「戦艦ポチョムキン」(52年4位から102位)、「黄金狂時代」(52年3位から154位)などがある。

この種のランキングには賛否両論があるのは当然だ。
芸術に順位をつけるのはけしからんという意見もある。私も言いたいことは山ほどある。しかしなるべく私見を抑えて事実を述べた。英誌の記録は、作品を真ん中において映画作家と批評家が対峙して創り出す巨大なマトリックスである。更に興味ある読者は、Sight & Soundのサイトを参照されたい。要点は無料でみられる。



Category (映画・演劇) | Comment (3) | TrackBack (0) | ▲
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Comment
読ませていただき私が感じた点は、
1.60年前の日本映画が今年世界で最も権威ある映画順位評価で一番に選ばれたことに驚きました。
2.映画評論家ではない筆者がSight & Sound という英国の映画専門誌を読んでおられることに感心しました。単なる趣味である筈の映画を筆者はここまで徹底して研究されていることに脱帽です。(この雑誌の存在を初めて知った私は興味本位にサイトを覗き、東京物語への評価を原文で読み、投票者の名前を閲覧しました)
3.昔から映画には余り興味がなかった筈の私が東京物語を翌年の1954年3月に観ていたのは何の偶然か。その後TVで放映された機会には何回か努めて観ていますが、これは余ほど気にいった所為と思われます。それが今回世界一になったとは、私の映画評価眼も間違っていなかったと、嬉しい限りです。
戸松孝夫 (URL) 2012/08/25 Sat 21:34 [ Edit ]
半澤さんの識見とご指摘に万雷の拍手を送ります。愚かしくも今山田洋次監督が松竹で『東京物語』をリメーク中。なんとも嫌な気分でおりましたので、なんとも愉しい誇らかな気分になりました。心地よい世界の識見に
山田は今、どんな思いでダヴィングしているのでありましょうか?

横堀幸司 (URL) 2012/08/26 Sun 09:28 [ Edit ]
■横堀幸司様
「万雷の拍手」を有り難うございます。『東京物語』の上位獲得―特に監督投票の1位―は、歴史と文化をのっぺらぼうにするグローバリゼーションに対する芸術家の「異議申し立て」だと私は感じています。
半澤健市 (URL) 2012/08/26 Sun 21:29 [ Edit ]



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