(以下引用)
『007』M役ジュディ・デンチ、ダニエル・クレイグ版ボンドは「脚本がファニーじゃない」、発言の真意とは
『007』シリーズでジェームズ・ボンドの次にアイコニックなキャラクターと言っても過言ではない“M”を、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンから6代目ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグにかけて演じたジュディ・デンチが、引退から9年経った現在、当時の心境や思い出を振り返っている。その中で、デンチはクレイグ版『007』シリーズの脚本について「ファニーじゃない」と語っているのだが、果たしてその真意とは…?
『眺めのいい部屋』(1986)『Queen Victoria 至上の恋』(1997)などで功績を残し、『007』シリーズ出演前から女優としての地位を築いていたジュディ・デンチは、女性としては初のM役に起用された。5代目ピアース、6代目クレイグそれぞれのボンドに対して、従来どおり辛辣な言葉を投げかけながらも、00エージェントとしては最高の信頼を置くなど、Mの人間像に温かみをもたらしたデンチ。『007 スカイフォール』(2012)をもって、ボンドに見守られる形で次にバトンを渡した。
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このたび米ポッドキャストに出演したデンチは、M役について「すごくワクワクしましたし、演じていて楽しかったです」と振り返る。「オファーされるのに最高の役です」。その一方で、母国イギリスでは国民的キャラクターなだけあり、相当な重荷を抱えてもいた模様。「『007 ゴールデンアイ』でピアースと私はすごく不安でした」とデンチ。「だって最初の1作でしたから。特に彼(ピアース)は、かなりの責任を感じていたでしょうね」。
ここでホストが、歴代のボンドについて「彼らは一人ひとり違いますよね。私はユーモアが好きなんです。ピアース(・ブロスナン)、ショーン(・コネリー)、ロジャー(・ムーア)のような」と話した上で、デンチに「ダニエル・クレイグは俳優としては素晴らしいのですが、(彼のボンドは)少し暗いんですよね」と問いかける。これに、デンチは「脚本があまりファニー(funny)じゃないんですよ」と持論を展開。この発言に「そんなことないですよ」と返されたデンチは「もちろんです。それには賛成です」と答えている。
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クレイグ版ボンドといえば、ひたすらに強敵に立ち向かっていく歴代シリーズの要素を引き継ぎながら、自身の暗い過去にも向き合っていく姿が印象的だ。ユーモアの観点から考えると、ホストの指摘する通りショーン・コネリーやロジャー・ムーア、ピアース・ブロスナンのように、会話の節々にウィットに富んだ言葉を織り交ぜていくようなボンドの姿は、クレイグ版では比較的少ないことも否めない。クレイグ版の脚本を「ファニーじゃない」と話したデンチだが、これはあくまで歴代と比較した上での考えであり、決してクレイグ版を非難しているわけではないことは自明だろう。