下記記事はニューズウィークからの転載だ。元の顔が美人顔であるだけに、いっそう痛ましいが、しかし、この写真がオバマのアフガン侵略の大義名分に加担したのも確かだろう。フォト・ジャーナリズムは昔からそうなのである。湾岸戦争の時の油まみれの海鳥の写真など、「やらせ」の代表的な事例だ。そもそも、この「鼻そぎ」は家族内の残虐な「お仕置き」であり、アフガンの政権とはまったく無関係な話である。
(以下引用)
レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
大賞:ビビ・アイシャ(18)。夫の暴力のため婚家から逃れて家族のもとへ戻ろうとしたアフガニスタンの女性。タリバンの司令官によって夫からの逃亡罪を言い渡され、罰として夫の兄弟に押さえつけられ、夫によって耳と鼻を切り落とされた。捨てられていたところを援助活動家と米軍によって助けられ、撮影後米国に渡り顔の再建手術を受けた。現在は米国在住。 Jodi Bieber, South Africa, Institute for Artist Management/Goodman Gallery for Time
残酷な悲劇を伝えたあの写真
注)スライドショーの一部に衝撃的な写真が含まれます
昨年8月の米タイム誌の表紙に、ある少女の写真が掲載された。鼻を切り落とされた傷痕が生々しく残るその姿は世界に衝撃を与えた。しかし、表紙に「私たちがアフガニスタンを去るとこうなる」と書かれていたこともあり、被写体の不幸がオバマ米大統領の軍事政策のプロパガンダに利用されたとの批判も巻き起こった。
その半年後、この写真は世界報道写真大賞を受賞したことで再び注目を集めた。大賞が批判と称賛を同時に浴びるのは毎年のことだが、今年も秀逸な写真がそろっていたハイチ地震の作品から選ばれなかったことに疑問の声も上がった。
だが少女の写真に、一瞬で目に焼き付く強烈な力があるのは間違いない。審査委員長のデービッド・バーネットは「誰かに『あの少女の写真』と言われれば、すぐに思い浮かぶような、一生の間に出合える10枚のうちの1枚になり得る写真だ」と評価する。
少女が受けた許されざる暴力は今、タイム誌の呪縛から離れてあらためて世界に告発された。この作品を含む入賞作品約200点を展示した『世界報道写真展2011』は、東京都写真美術館で6月11日から8月7日まで開催される(その後大阪・京都などを巡回)。
---片岡英子(本誌フォトディレクター╱世界報道写真コンテスト2010審査員)
世界報道写真(World Press Photo)財団
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