ちなみに、馬賊の持つ拳銃と言えばモーゼルであり、私はこの拳銃が大好きなのである。映画の画面でこの大型拳銃が乱れ撃ちされるシーンを想像するだけで、うっとりとなる。
今の邦画界がダメなのは、こうした過去作品から「今作れば凄いパワーを持つ作品」を探し出そうという意欲も努力も無いことである。
(以下引用)
★ 「夕陽と拳銃」 檀一雄 著
夕日と拳銃」の作者は、最後の無頼派と言われた檀一雄。
実在の日本人馬賊となった戦国武将伊達政宗の末裔 伊達 順之助をモデルに描いた壮大なスケールの長編小説。
父は仙台藩知事・伊達宗敦といい、その六男として生れたのが順之助。
華族の子に生まれながらも素行が悪く麻布中学、慶應普通部、立教中学など幾つもの学校を転々。
立教中学在学中に東京明石町の路上で縄張り争いから不良学生を射殺するが有能な弁護士により執行猶予を得て釈放され、大陸浪人として活動。
北一輝、大川周明、出口王仁三郎などとも親交が深く、1916年に張作霖爆殺計画、1919年に山縣有朋暗殺計画(共に失敗)等、過激な行動を起こしたり、第二次満蒙独立運動にも参加。
その後、山東自治聯軍に参加し、1929年に張宗昌(奉天派)とは義兄弟の契りを交わし張宗援と名乗ったが、終戦後、戦犯とされ青島拘留所、上海監獄臨時戦犯拘留所、江湾鎮戦犯収容所に収監され死刑宣告をうけ1948年6月1日に上海監獄で銃殺刑に処せられた。
小説も実像とほぼ同じ。
伊達麟之介は日本の五族協和と王道楽土を信じ、得意の拳銃を持ち、蒙古の独立運動を助けたり、盗賊団(土匪・匪賊)から開拓団を守り、満洲に桃源郷を造る夢を実現するため活躍。
義を重んじる麟之介は関東軍とは一線を置き、桃源郷を目指すが、日本の敗戦とともにすべての夢が敗れ、戦犯となり銃殺刑。
余談だけど、伊達麟之介(順之助)の傍に何時も控えている愛すべき後見人 逸見六郎爺さんが日本の本格推理小説の草分的存在 島田一男大先生のエッセイに登場したのには驚きました。
ご存じのように島田大先生は、満州日報の新聞記者になり敗戦まで従軍記者に。
終戦後は同社の社員たちと「大陸情報通信社」を設立、在満邦人の引揚げ運動に尽力するんだけど、終戦後にまだご存命だった逸見六郎爺さんに会い驚かれたことがことが記載されています。
「夕陽と拳銃」は、各方面から大絶賛された名作で映画やテレビドラマにもなりました。
血湧き肉踊り、すれ違いにイライラ・ハラハラ・・・・涙涙の長編小説「夕日と拳銃」は最高に面白いですよ!