ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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思ったより面白いので転載する。最初のあたりは予想通りだが、途中から意外なコメントがあり豆知識になる。「雪国こそ冷蔵庫が必要」というのは、まさに意外であるが、なるほど、である。
(以下引用)
雪国あるある上げていこうぜw
カテゴリ生活ネタ
転載元: https://nova.5ch.net/test/read.cgi/livegalileo/1737586472/
31397337_m
1: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:54:32.83 ID:d7FHVMlX0
2車線の道が雪で1.5車線になってる
2: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:54:49.54 ID:d7FHVMlX0
除雪されてない道は凸凹しててくそ
3: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:55:02.30 ID:RkyyU1vE0
氷柱でバトル
5: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:56:01.65 ID:4zyDeH+C0
車線なんてない
6: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:57:16.40 ID:oMNpG0yz0
タイヤチェーンがアスファルト削るので春先は路面がボコボコ
7: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:58:01.01 ID:oMNpG0yz0
暖房(灯油ヒーター)を毎日24時間入れっぱなしなので灯油代が大爆発
8: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:58:13.37 ID:qjWfcjXV0
耳垢が凍ってガサガサうるさい
9: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:59:19.04 ID:d7FHVMlX0
夜
除雪車「ピーピー」チェーンカタカタ
ワイ「翌朝ドカ雪やろなぁ」
10: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:01:05.04 ID:vFOHE9gz0
登校中クソデカつららをゲットしてにっこり
11: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:02:12.45 ID:0o7RCePPd
イキりアルファードが亀さんになってる
12: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:09:14.48 ID:pTtgeO0t0
雪道でこっちを追い越していった県外車が数百メートル先で田んぼに落ちてる
13: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:13:14.92 ID:vBEfe6tZ0
家でも雪かき会社でも雪かき
14: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:14:51.49 ID:c0OiaHQj0
轍が3本で対向車
15: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:23:55.11 ID:H8CB+cOM0
寝る時は水道を少し流しっぱなし
16: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:25:14.14 ID:j0MxHN8H0
ガタガタ路面を車で走ってる時痔にならないか心配になる
17: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:25:42.06 ID:+Ww53klA0
男子中学生は30cm積もろうが絶対長靴履かない
18: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:27:03.02 ID:5g1jGgUi0
冬はガチで家の中にこもるから冷蔵庫が数台ある
月に1~2度の買い物で数台の冷蔵庫満杯にして耐え抜くみたいな生き方
豪雪地帯あるあるかな
19: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:28:31.53 ID:vyD8WRPL0
エアロパーツがそのへんに落ちてる
20: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:30:08.82 ID:M3YMYDBY0
道路の熱でちょっと溶けて浮いてる氷を踏んでパキパキしながら登校する
21: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:31:43.68 ID:j0MxHN8H0
学校の池がスケートリンクになる
22: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:32:48.93 ID:PbsfKM7Q0
陽キャJKがたまにパイ拓してる
23: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:35:41.00 ID:WSV40ZdH0
道の温水パイプのサビが湯に溶けて出てるから、道が赤茶色に染まる
24: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:39:03.43 ID:+2w2Tc1z0
雪かきしてる家としてない家がはっきり分かる
25: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:45:33.36 ID:1lkpfTaD0
道路に雪ないほうがかえって滑る
26: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:49:39.88 ID:zs8CrtYm0
道の真ん中から水が出て服にかかる
27: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:53:53.97 ID:oMNpG0yz0
一晩で積雪30cmの翌朝もJKは丈詰めスカートに素足で登校する
28: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:54:50.55 ID:oMNpG0yz0
かまくらは放置しておくと崩れて危ないので雪まつりが終わり次第速攻で取り壊す
29: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:02:04.22 ID:PrWfyUea0
稀に道路凍ってるのにチャリ乗ってるジジイが出る
30: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:05:04.94 ID:oMNpG0yz0
学校までミニスキー履いて登校する
高学年になるとガチスキー履いて登校する奴もいる
31: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:15:28.13 ID:DG6bK6fE0
ワイの小さい頃からの夢の一つが、かまくらの中で餅焼いて食う
33: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:21:21.22 ID:oMNpG0yz0
>>31
甘酒も飲んでええぞ
32: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:18:22.97 ID:Ku4FrMSld
歩行者に人権がない
(以下引用)
雪国あるある上げていこうぜw
カテゴリ生活ネタ
転載元: https://nova.5ch.net/test/read.cgi/livegalileo/1737586472/
31397337_m
1: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:54:32.83 ID:d7FHVMlX0
2車線の道が雪で1.5車線になってる
2: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:54:49.54 ID:d7FHVMlX0
除雪されてない道は凸凹しててくそ
3: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:55:02.30 ID:RkyyU1vE0
氷柱でバトル
5: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:56:01.65 ID:4zyDeH+C0
車線なんてない
6: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:57:16.40 ID:oMNpG0yz0
タイヤチェーンがアスファルト削るので春先は路面がボコボコ
7: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:58:01.01 ID:oMNpG0yz0
暖房(灯油ヒーター)を毎日24時間入れっぱなしなので灯油代が大爆発
8: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:58:13.37 ID:qjWfcjXV0
耳垢が凍ってガサガサうるさい
9: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 07:59:19.04 ID:d7FHVMlX0
夜
除雪車「ピーピー」チェーンカタカタ
ワイ「翌朝ドカ雪やろなぁ」
10: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:01:05.04 ID:vFOHE9gz0
登校中クソデカつららをゲットしてにっこり
11: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:02:12.45 ID:0o7RCePPd
イキりアルファードが亀さんになってる
12: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:09:14.48 ID:pTtgeO0t0
雪道でこっちを追い越していった県外車が数百メートル先で田んぼに落ちてる
13: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:13:14.92 ID:vBEfe6tZ0
家でも雪かき会社でも雪かき
14: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:14:51.49 ID:c0OiaHQj0
轍が3本で対向車
15: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:23:55.11 ID:H8CB+cOM0
寝る時は水道を少し流しっぱなし
16: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:25:14.14 ID:j0MxHN8H0
ガタガタ路面を車で走ってる時痔にならないか心配になる
17: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:25:42.06 ID:+Ww53klA0
男子中学生は30cm積もろうが絶対長靴履かない
18: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:27:03.02 ID:5g1jGgUi0
冬はガチで家の中にこもるから冷蔵庫が数台ある
月に1~2度の買い物で数台の冷蔵庫満杯にして耐え抜くみたいな生き方
豪雪地帯あるあるかな
19: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:28:31.53 ID:vyD8WRPL0
エアロパーツがそのへんに落ちてる
20: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:30:08.82 ID:M3YMYDBY0
道路の熱でちょっと溶けて浮いてる氷を踏んでパキパキしながら登校する
21: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:31:43.68 ID:j0MxHN8H0
学校の池がスケートリンクになる
22: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:32:48.93 ID:PbsfKM7Q0
陽キャJKがたまにパイ拓してる
23: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:35:41.00 ID:WSV40ZdH0
道の温水パイプのサビが湯に溶けて出てるから、道が赤茶色に染まる
24: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:39:03.43 ID:+2w2Tc1z0
雪かきしてる家としてない家がはっきり分かる
25: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:45:33.36 ID:1lkpfTaD0
道路に雪ないほうがかえって滑る
26: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:49:39.88 ID:zs8CrtYm0
道の真ん中から水が出て服にかかる
27: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:53:53.97 ID:oMNpG0yz0
一晩で積雪30cmの翌朝もJKは丈詰めスカートに素足で登校する
28: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 08:54:50.55 ID:oMNpG0yz0
かまくらは放置しておくと崩れて危ないので雪まつりが終わり次第速攻で取り壊す
29: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:02:04.22 ID:PrWfyUea0
稀に道路凍ってるのにチャリ乗ってるジジイが出る
30: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:05:04.94 ID:oMNpG0yz0
学校までミニスキー履いて登校する
高学年になるとガチスキー履いて登校する奴もいる
31: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:15:28.13 ID:DG6bK6fE0
ワイの小さい頃からの夢の一つが、かまくらの中で餅焼いて食う
33: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:21:21.22 ID:oMNpG0yz0
>>31
甘酒も飲んでええぞ
32: それでも動く名無し 2025/01/23(木) 09:18:22.97 ID:Ku4FrMSld
歩行者に人権がない
PR
その十九 坊さんの正体
「だれだ!」
気配を感じたのか、部屋の中の坊さんが大声をあげました。
その時、窓から何かが飛び込んできて、お坊さんののどにかみつきました。
ピントです。
「うわっ」
坊さんは必死(ひっし)でピントをはらいのけようとしますが、ピントの牙は坊さんののどにくいこんでいます。見ていたピエールは心配になりました。もしもこのお坊さんがただの人間で、坊さんとしては悪いことかもしれませんが、生肉が好きだというだけだったらどうしましょう。
ハンスも同じことを考えていました。そこで、大急ぎでグラムサイトの呪文をとなえ、精神を集中して坊さんのすがたを見ました。すると、窓からさしこんできた月の光にうかびあがったそのすがたは、一匹の大猿だったのです。
ハンスは部屋の中にかけこんで、魔法の杖で大猿の頭を力一杯なぐりました。
大猿は「ギャッ」と一声鳴いて、息絶えました。
その晩は、もっと化け物が出てくるかもしれないので、四人は二人ずつ交互(こうご)にねることにしました。
夜が明けると、ピエールとヤクシーは寺の中をさがしてみました。もちろん、大猿の死体はそのままありましたが、そのほかに、気味わるいことに寺の床下には人間の白骨が十三体みつかったのです。
「こいつは、あの狐と大猿が旅人たちを食ったものだな」
「それに、このお寺のお坊さんたちもね」
ピエールとヤクシーは、子供たちにはその死体を見せないようにかくしました。
この気味の悪い寺からなるべく早くはなれたくて、四人は朝御飯がすむと、さっさとそこを出て行きました。
「ねえ、あんたもしかして魔法使い?」
アリーナがハンスに聞きます。
「うん」と短くハンスは答えました。
「魔法使いってほんとにいたんだ。ねえ、なにかやってみて。空飛べる?」
「できないよ」
「変身は? 鳥になれる?」
「できない」
「なあんだ」
アリーナは、ハンスの魔法が、自分の想像していたものとはだいぶちがうようなので、がっかりしたようです。
その二十 社会科のお勉強
西グリセリードと中央グリセリードの境い目の低い山地を越えると、あたりは広くひらけて、畑が多くなってきました。もちろん、山や野原もたくさんありますが、畑の割合が多くて、民家の数も多いのです。
もうだいぶ秋も深くなってきて、麦の収穫はとっくに終わり、稲の刈り入れが始まってます。このあたりは水田ではなく、陸稲(おかぼ、りくとう)が畑に植えられてます。刈り取られた稲が稲架(はさ、はざ)にかけられて干されているようすはのどかなものです。
シャングーの町で身なりをととのえたハンスたちの一行(いっこう)は、見たところはグリセリード人です。もともと、グリセリードはいくつもの国が征服(せいふく)されて一つになった国なので、肌(はだ)の色や顔だちのちがいはだれもあまり気にしません。特に北部グリセリードは、ずっと西のアルカードの民族(みんぞく)が住みついたところなので、肌は白く、金髪や青い目もめずらしくありません。
今のグリセリードを統一したのは、グリセリード南西部の国でした。ルガイアという王様と、その息子のヴァンダロス大王という王様が、二代にわたってこの広大な大陸を統一したのです。
今はヴァンダロスの娘のシルヴィアナがグリセリードの皇帝、つまり女王になってますが、ざんねんながらシルヴィアナは政治の能力が無く、すべてを宰相のロドリーゴにまかせているのは前にお話したとおりです。ロドリーゴは国のことよりは自分の利益(りえき)を先に考える人間でしたから、シルヴィアナの代になってからはヴァンダロスの時代にくらべて国民の政治に対する不満は強くなっていました。とくに、二度にわたるアスカルファンとの無意味な戦いで、何万もの人間が戦場に送り出され死んだ事をうらむ人間は多かったのです。
ヴァンダロスは全国を統一(とういつ、一つにすること)した後も、関所(せきしょ、交通の要所におかれ、旅人の身元を調べる役所)をおかず、分国と分国との行き来は自由にさせていましたので、全国の文化や産物はあちこちに伝えられ、発展していました。ハンスたちが自由に旅ができたのもそのためです。
年に一回か二回の年貢(ねんぐ)か税金を納める以外は、庶民生活への干渉(かんしょう、あれこれ口出しすること。いちいち説明するのも楽じゃないです。でも、言葉をおぼえるのは大事ですからね。このお話は、学習小説でもあるのです。……なるほど、そうだったのか)をしないのがヴァンダロスの方針(ほうしん、やり方)だったので、国民の生活は気楽なものでしたが、前回の意外な敗戦の後、シルヴィアナとロドリーゴへの批判(ひはん、文句を言うこと)は強くなっており、その批判をおさえるために、政治を批判する者は処罰(しょばつ)するというお触れ(おふれ、知らせや命令)が出ており、国全体にいきいきしたところやのびのびしたところがなくなっていました。国民が自由に発言できない社会や国が、悪い社会や国であることは、いつの時代も変わりません。
「富とは自由に処分できる時間のことなのであって、それ以外のなにものでもない」
これはマルクスの言葉らしいが、私もこれに賛成である。しかし、これには大前提があって、「生きるのに必要な金銭が保証されている」ことだ。
つまり、生活保護を受けている者や年金老人こそが、この世で一番豊かな人間だということだ。ただしこれはあくまで「生きるのに必要なカネが」保証されているという話であり、「贅沢するのに必要なカネ」の話ではない。
モームの「世界の十大小説」の中の、大小説家たちの伝記部分を読むと、バルザックもドストエフスキーもカネが入るようになると、まったく無駄で無意味なカネの使い方をして大散財するのである。それが癖になるのか、借金してまで浪費するのである。
もともとの貴族であり、カネに不自由はしなかったトルストイも、カネのロクな使い方はしなかった。彼らには「カネを持つ意味」は無かったのである。なぜなら、彼らは素晴らしい「脳内世界」を持っていて、それを小説として書くだけで十分であり、実はカネを持つ必要性など無かったからである。
高橋留美子などは「漫画を描くより楽しいことってあります?」と言ったそうである。賢者の言である。この言葉は、清少納言が「一番の幸福は白い紙を得た時だ」と言っているのと同じである。つまり、この紙に何を書こうかと考えるのが一番の幸福だったわけだ。
その十七 山中の怪物
「こりゃあ、野宿(のじゅく)になりそうだな」
ピエールが言いました。
その時、道のそばの木のしげみから、グルルッという獣(けもの)のうなり声が聞こえました。驢馬のグスタフや馬たちはおどろいて棒立ち(ぼうだち)になります。
ピントはワンワンとほえたてます。
「怪物か?」
ピエールは腰の剣を抜いてみがまえます。ハンスも杖をかまえました。ヤクシーとアリーナもナイフをぬきます。
ザザッとしげみをわけて飛び出してきたのは、まさしく怪物です。体は虎ですが、頭は猿で、大きさは人間の二倍ほどあります。
その怪物は近くにいたヤクシーに飛びかかりましたが、ヤクシーはさっとそれをかわします。きっと武芸(ぶげい)の心得(こころえ)があるのでしょう。よけながら、ナイフで怪物の前脚に切りつけます。
怪物は次に、ピエールにおそいかかります。ピエールの剣が怪物の肩口(かたぐち)を斬りましたが、怪物はまだまいりません。
ハンスは怪物に心でよびかけました。
(お前はなんでぼくたちをおそうのだ!)
怪物の答えがかえってきます。
(もちろん、食うためだ。お前は動物と話ができるようだな。なら、そこの犬と猿だけでゆるしてやるから、そいつらをおいて行け)
(いやだ!)
怪物はこんどはハンスに向かってきました。
ハンスは杖で怪物の頭をなぐりました。すると、どうでしょう。剣やナイフで切られてもあまりこたえなかった怪物が、おそろしい苦痛(くつう)のさけびをあげて倒れたのです。
そして、みるみるうちにその体がちぢんで、姿がかわっていきます。死んだすがたを見ると、その怪物は、せいぜい犬くらいの大きさの老いた狐です。
「おどろいたな。化け物の正体は、古狐か」
「でも、私たちの剣やナイフがきかなかったのはなぜかしら」
「あたりどころがまずかったんだろう。とにかく、ハンスのおてがらだ」
ハンスは得意(とくい)な気分でしたが、出番(でばん)がなかったアリーナはおもしろくなさそうです。
四人は野宿できそうな場所をさがしてしばらく歩きました。すると、やがて闇(やみ)の中にぽつんと一つ、明かりが見えてきたのです。
その十八 妖怪の寺
「おお、明かりだ。人がすんでいるぞ」
ピエールがよろこびの声をあげました。
四人は、馬と驢馬は引いて、闇の中をつまずいたりころんだりしながらすすみます。
やがて、その明かりが目の前に近づきました。どうやら、家の窓のようですが、お寺のようです。
塀(へい)にかこまれた門から入って、寺の玄関にたどりつきましたが、たてものの中はほとんど明かりがありません。
「ごめんください」
大声でピエールが呼ぶと、奥から「どなたじゃな、こんな夜おそく」と声がかえってきました。
出てきたのは、ずいぶん年をとったお坊さんです。頭はつるつるで、長い真っ白なあごひげをはやしています。
「すみません。旅の者ですが、こんばん一晩(ひとばん)ここにとめてもらえませんか」
「そうか。今からよそに行けというわけにもいくまい。夜着などはないが、そのへんでねむるだけならいいじゃろう」
「ありがとうございます」
ピエールは礼を言いました。
お坊さんがひきさがると、アリーナが言いました。
「なんかへんだぜ、あの坊さん」
「どこが?」
ピエールが問い返すと、
「いやになまぐさいにおいがしたんだ。生肉か、血のにおいだ」
「晩飯でも食っていたんだろう」
「あんた、グリセリードの人間じゃないからわからないのかもしれないけど、ここはブダオ教の寺だ。ブダオ教では肉食はきびしくいましめられているんだ」
「この子の言うとおりよ。私もいやなにおいを感じた」
ヤクシーの言葉に、ピエールは考えこみ、「たしかめてみよう」と言いました。
「みんなでいきましょう」
ヤクシーの言葉で、四人はこっそり足をしのばせて、寺の奥に近づいていきました。
奥の部屋から明かりがもれています。
先頭のピエールが部屋をのぞきこむと、中ではなんと、先ほどの坊さんが、口から血をしたたらせながら、生き物の死体をむさぼり食っているではありませんか。
ピエールはぞっとして、後ろの三人をふりむいて小さい声で言いました。
「アリーナの勘(かん)が当たった。あの坊さんも化け物だ」
「ラビリンス」は、いわばアイドル映画であり、ジェニファー・コネリーとデヴィッド・ボウイが主演だからこそ見る価値があったのである。つまり、誰が監督をしても、俳優がダメならダメになることがほぼ確定的だろう。今のアメリカやイギリスにそういうアイドル俳優やアイドル歌手がいるか?
(以下引用)
『ウィッチ』や『ライトハウス』、『ノースマン 導かれし復讐者』のロバート・エガース監督が、最新作のゴシックホラー映画『Nosferatu(原題)』に続いて、根強い人気を誇る『ラビリンス/魔王の迷宮』の続編を手がけることとなった。
『ラビリンス/魔王の迷宮』は、ジム・ヘンソンが監督し、デヴィッド・ボウイとジェニファー・コネリーが出演した1986年のダークファンタジー映画。その直接的な続編となる映画の脚本・監督をロバート・エガースが務めるとVarietyが報じた。脚本は、『ノースマン 導かれし復讐者』でも共同脚本を務めたショーンとともに手がけることになるという。『ラビリンス/魔王の迷宮』の続編については以前、『フッテージ』や『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督で進行中だと伝えられていた。しかし、2023年以降は最新情報が何もなく、トライスター・ピクチャーズとジム・ヘンソン・ピクチャーズはエガースを監督を迎え、新たに続編を始動させたものと思われる。
1986年公開の『ラビリンス/魔王の迷宮』では、ジェニファー・コネリーが主人公のサラを演じ、サラの弟をさらうゴブリンの魔王ジャレスをデヴィッド・ボウイが演じた。サラは弟を救うため、ジム・ヘンソンによるマペットたちの助けを借りながらダークファンタジーの世界を冒険する。
(以下引用)
『ウィッチ』や『ライトハウス』、『ノースマン 導かれし復讐者』のロバート・エガース監督が、最新作のゴシックホラー映画『Nosferatu(原題)』に続いて、根強い人気を誇る『ラビリンス/魔王の迷宮』の続編を手がけることとなった。
『ラビリンス/魔王の迷宮』は、ジム・ヘンソンが監督し、デヴィッド・ボウイとジェニファー・コネリーが出演した1986年のダークファンタジー映画。その直接的な続編となる映画の脚本・監督をロバート・エガースが務めるとVarietyが報じた。脚本は、『ノースマン 導かれし復讐者』でも共同脚本を務めたショーンとともに手がけることになるという。『ラビリンス/魔王の迷宮』の続編については以前、『フッテージ』や『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督で進行中だと伝えられていた。しかし、2023年以降は最新情報が何もなく、トライスター・ピクチャーズとジム・ヘンソン・ピクチャーズはエガースを監督を迎え、新たに続編を始動させたものと思われる。
1986年公開の『ラビリンス/魔王の迷宮』では、ジェニファー・コネリーが主人公のサラを演じ、サラの弟をさらうゴブリンの魔王ジャレスをデヴィッド・ボウイが演じた。サラは弟を救うため、ジム・ヘンソンによるマペットたちの助けを借りながらダークファンタジーの世界を冒険する。
「ナルニア国ものがたり」という、有名な児童文学があって、名前だけは昔から知っていたが、なぜか読む気になれなくて、この年(何歳かは特に秘す)になって初めて読んでみた。
私は児童文学は好きで、名作と呼ばれているものは、何歳の人間が読んでも面白いはずだ、という考えだが、これが、まるで面白くないのである。子供向けの本だから当然だ、とはならない。優れた児童文学や童話は大人が読んでも面白いのである。
「ナルニア国ものがたり」がなぜ面白くないかというと、私の考えでは、作者自身が面白くない人間で、つまり「ユーモア感覚」がないからだろう、と思う。作者はC.S.ルイスという、詩人としては有名な人らしい。
それで思うのだが、詩人というのは、たいていがユーモア感覚が欠如しているのではないだろうか。ユーモア感覚があれば、おおげさに泣いたり感動したりすることに抵抗があり、それを笑いに換えるはずだからだ。ルイス・キャロルなどがその代表で、「アリス」の中の詩はすべて冗談詩である。私はウィリアム・ブレイクが好きだが、彼もユーモア感覚は無かったと思う。蠅一匹が打ち殺されるのを見て、そこにあらゆる生物の宿命を見る、というのは詩人ならではだろう。
宮沢賢治は詩人であり優れた童話作家だったが、彼の作品はユーモアよりは詩情が高度である。ユーモアも無いではないが、どちらかというとペーソス(哀感)が多い。
つまり、詩情というのは、笑いではなく、涙を誘うものだということだ。
なお、「ナルニア国ものがたり」第一巻だけは我慢して最後まで読んだが、第二巻は最初で放棄した。第一巻の「衣装箪笥の奥が異世界に通じる」というギミックは面白いと思ったが、第二巻では、特に明白な理由もなく、いきなり異世界に行くという雑さである。そう言えば、第一巻でも、話をかなり端折っており、ライオンが子供たちを王や女王に任命したから王や女王になりました、で話はほとんど尽きている。その前に少し、氷の魔女とやらとの戦争があるが、それも簡単に終わり、描写らしい描写はほとんどない。こんな調子で全7巻の「ナルニア国クロニクル」を書かれても、すべてが単なる「説明」で終わることは予測できるのである。
まあ、その「壮大さ」の印象だけで感心する子供も多いだろうから、これが児童文学の古典扱いされているのだろう。
ついでに言えば、男性作家はファンタジーを書くのが上手く、女性作家はホラーを書くのが上手いと思う。ファンタジーは現実の裏側であり、ホラーは現実と地続きである。だからこそ前者は怖くなく、後者は怖いのだ。別の言い方をすれば、ファンタジーは完全に頭の中で生み出され、ホラーは現実の経験や恐怖感がもとになっている。能天気に生きている男と違って、女性はおそらく、現実が板子一枚下で死や不幸と接続していることをなんとなく意識して生きているのではないか。たとえば、女性はセックスの快楽の代償を、自分の妊娠や堕胎として支払うことになっている。もちろん、子供を持つことは幸福にもなりうるが。そこが、射精して終わりという男とはまるで違うわけだ。
私は児童文学は好きで、名作と呼ばれているものは、何歳の人間が読んでも面白いはずだ、という考えだが、これが、まるで面白くないのである。子供向けの本だから当然だ、とはならない。優れた児童文学や童話は大人が読んでも面白いのである。
「ナルニア国ものがたり」がなぜ面白くないかというと、私の考えでは、作者自身が面白くない人間で、つまり「ユーモア感覚」がないからだろう、と思う。作者はC.S.ルイスという、詩人としては有名な人らしい。
それで思うのだが、詩人というのは、たいていがユーモア感覚が欠如しているのではないだろうか。ユーモア感覚があれば、おおげさに泣いたり感動したりすることに抵抗があり、それを笑いに換えるはずだからだ。ルイス・キャロルなどがその代表で、「アリス」の中の詩はすべて冗談詩である。私はウィリアム・ブレイクが好きだが、彼もユーモア感覚は無かったと思う。蠅一匹が打ち殺されるのを見て、そこにあらゆる生物の宿命を見る、というのは詩人ならではだろう。
宮沢賢治は詩人であり優れた童話作家だったが、彼の作品はユーモアよりは詩情が高度である。ユーモアも無いではないが、どちらかというとペーソス(哀感)が多い。
つまり、詩情というのは、笑いではなく、涙を誘うものだということだ。
なお、「ナルニア国ものがたり」第一巻だけは我慢して最後まで読んだが、第二巻は最初で放棄した。第一巻の「衣装箪笥の奥が異世界に通じる」というギミックは面白いと思ったが、第二巻では、特に明白な理由もなく、いきなり異世界に行くという雑さである。そう言えば、第一巻でも、話をかなり端折っており、ライオンが子供たちを王や女王に任命したから王や女王になりました、で話はほとんど尽きている。その前に少し、氷の魔女とやらとの戦争があるが、それも簡単に終わり、描写らしい描写はほとんどない。こんな調子で全7巻の「ナルニア国クロニクル」を書かれても、すべてが単なる「説明」で終わることは予測できるのである。
まあ、その「壮大さ」の印象だけで感心する子供も多いだろうから、これが児童文学の古典扱いされているのだろう。
ついでに言えば、男性作家はファンタジーを書くのが上手く、女性作家はホラーを書くのが上手いと思う。ファンタジーは現実の裏側であり、ホラーは現実と地続きである。だからこそ前者は怖くなく、後者は怖いのだ。別の言い方をすれば、ファンタジーは完全に頭の中で生み出され、ホラーは現実の経験や恐怖感がもとになっている。能天気に生きている男と違って、女性はおそらく、現実が板子一枚下で死や不幸と接続していることをなんとなく意識して生きているのではないか。たとえば、女性はセックスの快楽の代償を、自分の妊娠や堕胎として支払うことになっている。もちろん、子供を持つことは幸福にもなりうるが。そこが、射精して終わりという男とはまるで違うわけだ。
「内田樹の研究室」所載の「知性について(仮題)」の後書きの一部だが、私は内田樹という人物を今ひとつ信頼できないような印象を持っているが、まあ、それは現代のあらゆる「知識人」に対する私の偏見だろう。
で、この引用文に書かれた思想は、私も100%同意する。そもそも、人類の文化はすべて先人の文化を土台として生まれたもので、知識には所有権も、そして本当は「著作権」もありえない、というのが私の思想である。模倣者が出ても、それによって「オリジナル」の受ける迷惑は知れたものだ。で、原理的にはその「オリジナル」も、その土台になる先人の創作物があるわけだ。
(以下引用)
21世紀に入って日本が知的生産において著しく劣化した最大の理由は、みんなが「自分はどれくらいものを知っているか」「自分はどれくらい賢いか」を誇示し、他人をおしのけて権力や財貨の「割り前」に与ろうと競争しているからです。そんなこと、すればするほど集団的な知性は衰えてゆく。どうしてそれに気がつかないんでしょう。
自分がどれくらいものを知っているかとか、自分がどれくらい賢いかなんて、どうだっていいじゃないですか。自分の所有する知的な財があったら、それは共有地に供託して、みんなに使ってもらう。自分もみんなが供託してくれたものを使わせてもらう。それが知的に豊かな社会だと僕は思います。
同意してくれる人はまだまだ少数ですけれども、これからも僕はそう訴え続けるつもりです。みなさんもそういうふうに考えて下さるとうれしいです。
2025年1月
内田樹
で、この引用文に書かれた思想は、私も100%同意する。そもそも、人類の文化はすべて先人の文化を土台として生まれたもので、知識には所有権も、そして本当は「著作権」もありえない、というのが私の思想である。模倣者が出ても、それによって「オリジナル」の受ける迷惑は知れたものだ。で、原理的にはその「オリジナル」も、その土台になる先人の創作物があるわけだ。
(以下引用)
21世紀に入って日本が知的生産において著しく劣化した最大の理由は、みんなが「自分はどれくらいものを知っているか」「自分はどれくらい賢いか」を誇示し、他人をおしのけて権力や財貨の「割り前」に与ろうと競争しているからです。そんなこと、すればするほど集団的な知性は衰えてゆく。どうしてそれに気がつかないんでしょう。
自分がどれくらいものを知っているかとか、自分がどれくらい賢いかなんて、どうだっていいじゃないですか。自分の所有する知的な財があったら、それは共有地に供託して、みんなに使ってもらう。自分もみんなが供託してくれたものを使わせてもらう。それが知的に豊かな社会だと僕は思います。
同意してくれる人はまだまだ少数ですけれども、これからも僕はそう訴え続けるつもりです。みなさんもそういうふうに考えて下さるとうれしいです。
2025年1月
内田樹
その十五 シャングー
ハンスの連れている動物たちもアリーナはすっかり気に入ったようです。ときどき馬から下りてピントとかけっこをしたり、ジルバと木登りをしたり、とにかく元気な女の子です。動物たちも自分とあそんでくれるアリーナが大好きになったみたいです。
ところで、ハンスのお師匠のザラストは、世界には七人の大魔法使いがいると言っていました。そのうち五人は名前がわかっているが、あとの二人はわからない。五人のうち一人は自分だが、あとの四人は、アルカードのソクラトン、グリセリードのロンコン、グリセリードの南の森に住むブッダルタ、パーリのルメトトで、そしてレントよりもさらに西の未知の大陸ロータシアに一人いるらしいということです。その中の一人が、もしかしたら天国の鍵のありかをしっているかもしれないとザラストは言いました。自分で言うほどザラストが大魔法使いであるようには見えませんが、とにかくその四人をさがしてみようとハンスは考えていました。
「グリセリードにロンコンという魔法使いはいるか、アリーナに聞いてみて」
とハンスはヤクシーにたのみました。
「ロンコン? 知らないな」
とアリーナはきょうみなさそうに答えます。どうやら、人さがしは簡単にはいきません。
「だいたい、あんた、魔法なんて信じてるの? ばっかみたい」
アリーナの言葉にハンスはむっとして、魔法がある証拠(しょうこ)を見せようと思いましたが、人前で魔法を使うと危ないというザラストのいましめを思い出してがまんしました。でも、腹(はら)いせに、飛んでいた赤トンボをアリーナの顔に止まらせてきゃっと言わせてやりました。
なにしろグリセリードは広いので、村や町の間はだいぶはなれてます。街道がある分にはいいのですが、道のないところもたくさんあります。でも、大きな山はあまりなく、ほとんどは平野です。
西グリセリードの東側は、山に囲まれた盆地(ぼんち)です。それほど大きな山々ではありません。
「あそこは?」
丘の上から眼下に広がる土地と、その向こうの町を見てピエールがヤクシーに聞きました。
「たぶん、シャングーだと思うわ。もともと一つの国だったけど、グリセリードに支配されているの。パーリみたいなものよ」
「ここに入ると危ないかな」
「でも、ここを通らないと、ずいぶん回り道になるわよ」
二人の会話にじれて、アリーナが言います。
「何してんだよ。はやく行こうぜ」
そして、さっさと先にたって道をおりていきました。
その十六 山の怪物のうわさ
シャングーの町は、眠ったように静かです。土壁(つちかべ)のたてものは白く、屋根は赤いかわらぶきです。通りにはあまり人はいず、兵隊たちがときおり通るだけです。町の中心部には、道端に品物をならべて売っている大道商人のすがたや、店の前の入り口を広くあけてお客さんを待っている酒場(さかば)もあります。
ハンスたちは酒場にはいって食事を注文しました。
小麦粉を水でこねてゆでたり焼いたりしたものや、それをスープにいれたものがグリセリードの主な食事のようですが、そのほかに、鶏肉料理や豚肉料理、卵料理などもあります。豚肉料理はアスカルファンよりおいしいとハンスは思いました。
ピエールは、土地のお酒を飲んで、気持ちよくよっぱらっています。長い旅のあとですから、お酒もいっそうおいしいのでしょう。
「ここの食事はうめえや」
あいかわらず下品な言葉づかいでアリーナが言いました。アリーナは、四人の中でも一番の大食いです。あの小さな細い体のいったいどこに入るのかと思うくらい食べます。
ハンスたちはこの静かな町が気に入ったので、ここにしばらく滞在することにしました。
盆地ですが、町の中心には大きな川が流れており、川のそばにはヤナギの木がたくさんはえていて、それが水にうつってとてもきれいです。
この町には神秘的(しんぴてき)な力があるのか、ハンスはここにいるあいだに、ロレンゾの教えた魔法のうちいくつかが本当にできるようになりました。まだ確実(かくじつ)ではありませんが、ロレンゾが教えたのはうそではなかったようです。
そろそろ出発しようかな、と思ったころ、ハンスたちはみょうなうわさを聞きました。この町から東へ向かう街道に、怪物が出て、旅人を食べるという話です。
「そりゃあ、山賊(さんぞく)だな」
ピエールが言うと、ヤクシーがうたがわしそうに
「なら、なんで怪物という話になるのよ。山賊ならめずらしくもないでしょう」
と言いました。
「人々がこまってるなら、おれたちが助けようぜ」
と言ったのはアリーナです。
「まあ、どうせ通り道なんだから行くしかないな」
とピエールも言いました。
そこで四人は荷物をまとめて出発しました。
町を出てすぐに、道は坂道になり、山にさしかかります。
ちょうど日もくれかかって、あたりはものさびしくなってきました。最初(さいしょ)は強気(つよき)だった四人も、だんだんこころぼそくなってきました。
とうとうすっかり日がしずみました。
とあるツィッターだが、「斉唱」とは「一斉に歌う」ことではないか?
有名歌手が歌う場合は「独唱」だと思うが。
今時の若い人は「国家斉唱」も「校歌斉唱」もやった経験がないのだろうか。
(以下引用)
ホイットニー・ヒューストンの国歌斉唱に対するツイートのまとめ
有名歌手が歌う場合は「独唱」だと思うが。
今時の若い人は「国家斉唱」も「校歌斉唱」もやった経験がないのだろうか。
(以下引用)
ホイットニー・ヒューストンの国歌斉唱に対するツイートのまとめ
その十三 アリーナ
最初の村でハンスたちは食べ物と飲み物を手に入れ、農家に泊めてもらって一休みしたあと、旅を続けました。ピエールとヤクシーはグリセリード語ができるので、便利です。ハンスは二人の話すのを聞いていて少しずつおぼえようと思いました。
それから少し大きな村に来ました。その村でピエールは馬を二頭買いました。お金は金の粒をわたしています。アスカルファンをでるときに用意してあったのでしょう。
三人とも乗り物ができたので、早く旅ができます。
山脈の上はもう雪がつもっていたのに、ここではまだまだ暑(あつ)くて、日陰にはいるとほっとするくらいです。
三人が乾いて埃(ほこり)っぽい街道の木陰で休んでいると、馬に乗った騎士たちが数名、向こうからやってきました。
騎士たちは三人の前で馬を止め、馬上からたずねました。
「お前たち、十歳くらいの娘が通るのを見なかったか?」
ピエールがグリセリード語で、見なかったと答えると、騎士は
「そうか、確かにこの方向だと思ったが……」
とつぶやいて、他の騎士たちとともに、西の方に向かって馬を走らせて行きました。
騎士たちがいなくなった後、ピエールたちのいた木の後ろの藪(やぶ、木の茂みです)からがさがさと音がしました。
おどろいてふりむくと、藪から一人の女の子が出てきます。
「やれやれ、見つかるところだった」
男の子のようにズボンをはいて、顔はほこりっぽく汚れてますが、赤毛のとてもかわいい子です。美人といってもいいでしょう。一目でハンスはこの子にのぼせてしまいました。でも、よく見ると、この子はずいぶん気が強そうで、わがままそうです。
「へへっ、間抜けなやつら」
遠くに行った騎士たちのあとを目でおいながら、その女の子は言いました。そして、ピエールたちに向かってにやっと笑って言います。
「ねえ、なにか食べ物ないかな。おなかぺこぺこなんだ」
ハンスがあわてて皮袋から食べ物をだそうとすると、ヤクシーがそれを止めました。
「待って。その前に、あなたは何者か教えてちょうだい。どうしてあの騎士たちに追われていたの?」
すると女の子はヤクシーをにらんで言います。
「なんだっていいじゃないか。ケチンボのおばさん!」
「まあ、口の悪い子。名前は?」
「シル……いや、アリーナだ。名前言ったから、早く食べ物くれ」
どうも、アリーナという名前は嘘(うそ)みたいです。
その十四 新しい仲間
そのアリーナという子は、ハンスの出したパンとハムをがつがつと食べました。
「飲み物!」
食べる手を休めず、ハンスに命令します。ハンスは皮袋の水を出しました。
水をごくごく飲むと、はあっとまんぞくそうなため息をついて、一つげっぷをしました。どうも、あまり上品ではありません。でもかわいいからいいや、とハンスは思いました。
「お前たち、どこへ行くんだ?」
食べ終わると、アリーナはピエールに聞きました。
「べつにあてはないんだが、中央グリセリードにでも行こうかと思ってる」
「いいな。おれもいっしょに連れて行ってくれ」
「かまわんが、先に、なんであいつらに追(お)われていたのか、話してくれ」
アリーナは、目を上にあげてなにか考えてましたが、やがて言いました。
「おれは、こう見えても実はこの国の女王の娘(むすめ)なんだ。ところが、悪いやつのせいでお母さんから離(はな)されて、西グリセリードでずっと育てられていたんだ。それで、女王に会いに行くためにそこをにげだしたんだ」
なんだか、作り話みたいです。こんなほこりに汚れた顔で、乞食(こじき)の子のように下品な態度(たいど)や話し方の王女がいるものでしょうか。
「うそつけ。どうせ盗みでもして追われてたんだろう。まあいい。生きていくためには、そういうこともある。連れて行ってやろう」
元泥棒のピエールは、この乞食娘もしくは泥棒娘に同情(どうじょう)したようです。
アリーナを加えて四人は出発しました。アリーナは同じ年ごろのハンスにさかんに話しかけますが、グリセリード語のできないハンスにはさっぱりわかりません。
「お前たち、この国の人間じゃないのか?」
アリーナに聞かれて、ピエールはこまってしまいました。
「いや、最近グリセリードに入ったアルカードの者なんだ」
「この女はグリセリード人だろう?」
「そうよ」
とヤクシーが答えます。パーリ人のヤクシーはグリセリードにはくわしいので、グリセリード人になりすますのは簡単です。パーリとはグリセリードの隣(となり)の国です。
「グリセリードのどこだ?」
アリーナは聞きたがりますが、ヤクシーはてきとうにごまかします。
馬と驢馬は合わせて三頭しかいないので、アリーナはヤクシーの馬の後ろに乗ります。体重が軽いので、馬もそれほどの負担(ふたん)ではありません。
「馬ってのは楽でいいや」
アリーナはごきげんです。