<セ・クライマックスシリーズ・ファイナルステージ:広島3-9DeNA>◇第5戦◇24日◇マツダスタジアム
正直に言って予想外の結果に終わった。1勝のアドバンテージがあり、しかも連敗することの少ない本拠地・マツダスタジアムでの試合で4連敗を喫するとは思わなかった。広島OBとして悔しい気持ちだ。
しかし逆に言えば、それだけDeNAが強かったということだろう。シーズン3位のDeNAは阪神とのファーストステージからずっと敵地で勝ち続けてきた。特に甲子園の雨中での戦いにも勝って、若いチームだけにドンドン強くなってきた。集中力が高まっている感じが印象的だった。
この日もラミレス監督の采配、継投策がズバズバと決まった。石田が不調とみれば、すぐ交代させる。そして前日同様、先発要員の浜口を2イニング投げさせた。相手に流れを渡さない「攻めの継投」で攻撃面を含めた試合のリズムをつくったし、マウンドに上がる投手たちが起用にきっちり応えたのも立派だった。
筒香ら派手な打者がいる中でボクの目に留まったのは捕手の嶺井だ。リードはもちろん、ファウルで投手に球数を投げさせる打席での粘りには驚かされた。20日の試合で石原のバントを併殺に切った守備も含めて地味な存在だが光った。
セ・リーグでは初の3位からの勝ち上がりとなったわけだがセ・リーグの代表として日本シリーズで頑張ってほしい。試合後は広島ファンも拍手を送っていたし、ボクも同じ気持ちだ。
まさかの敗退となった広島は、左の中継ぎ投手がいなかったのが、やはり響いたのではないか、と思う。左-左の対戦で必ずしも投手の方が有利ということはないのだが、いるといないのとでは、どうしても継投策の幅を狭めてしまう。
例えば5回、筒香に本塁打された場面だ。2番手の大瀬良は4回も2死から3連打され、失点していた。5回も簡単に2死を取ってからロペスに左前打された。ここで筒香という場面で、1人、左投手がいれば…と思ってしまった。1軍の高いレベルで戦える左腕中継ぎがいないのは去年も同じだったのだが、課題なのではないだろうか。
短期決戦独特の難しさの前に敗れ、日本シリーズへ出場権を逃した広島だが、25年ぶり優勝を決めた昨季に続き、セ・リーグ連覇を達成した事実は消えない。今季はこれで終わったがシーズン、CSを通じてファンの大きな声援を受けたことを忘れず、来季以降も頑張ってほしい。(元広島投手)