ソフトバンクは選手層が厚いのではなく、「選手全員を活用している」のである。つまり、工藤監督の手腕が凄いということだ。それは巨人の原監督にも言える。特定の選手だけに固執して使い続ける癖のあるラミレスを私が評価しないのはそこである。
もちろん、レギュラー選手が固定されているチームは強い。だが、それは選手個々が自分に合った役割を果たすということであり、主役と脇役がいるのである。レギュラーを固定するなら打順も守備も固定するべきだ、ということだ。主役級の選手の打順や守備位置をやたらに動かすのは、監督が「自分の手腕を見せよう」というスケベ心があるからである。いや、脇役選手でもやたらに打順や守備を動かすべきではない。
それと同時に、あまりに固定されたレギュラーメンバーには、下で里崎が言っているような「短期決戦での不安」があるわけだ。こうした短期決戦でレギュラー選手が不調なら、それに代わる働きのできるサブメンバーがいるかどうかは、監督がそれを作れるか、作ってきたかによる。
まあ、それ以前に西武の場合は宿痾である投手陣の弱さがそのままCS敗退の原因になったと言うべきだろう。
(以下引用)
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- 日本シリーズ進出の逃したリーグ王者の西武辻発彦監督は、がっくり肩を落とし引き揚げる(撮影・たえ見朱実)
<パCSファイナルステージ:西武3-9ソフトバンク>◇第4戦◇13日◇メットライフドーム
ソフトバンクが総力戦でパ・リーグ2連覇の西武を破った。ファーストステージから一貫して、救援陣が踏ん張った。
ファイナルステージ4試合のうち、先発が長い回を投げたのは第3戦の千賀(8回)のみ。あとは嘉弥真、高橋純、甲斐野、モイネロ、森が3試合ずつ。石川が2試合に投げて、短い回をきっちり抑えた。
選手層が厚いのはもちろんだが、ファイナルステージにおいては首脳陣がそれをうまく使い切った。打順を変えればはまり、代打を出せば打ち、適材適所で全員に役割を与えた。選手個々が応え、いい活躍をした。投手も野手も、ベンチ入りメンバーのほぼ全員が出場していた。
対して西武は、シーズン中からレギュラーがきっちり固まっていた。逆に言えば、この布陣でうまく回らなかった時、次に打つ手がない。例えば源田や森が打撃不振だからと言って、代役を務めるバックアップはいない。復調を待つしかなかった。しかし、最大6試合しかない短期決戦。シーズン中と違い、復調するまでの時は残されていなかった。(日刊スポーツ評論家)
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