負ければCS出場から大きく後退する楽天が、最下位の日本ハムになんとか逆転勝ち。厳しい状況は変わらないが、ギリギリで踏みとどまった。それでも試合内容を見る限り、チームの勢いを感じない。その要因を考えてみた。


先発は上半身のコンディション不良というあやふやな理由で抹消されていた早川だった。8月22日以来の先発で、チームの危機的状況の中での投球だが、わずか3イニングで7三振を奪いながら3失点。数字を見ても、いい球と悪い球がはっきりし過ぎている証拠になった。


ルーキーイヤーで9勝を挙げ、今季が3年目。エース級の活躍が期待されたが、2年目は5勝で今季は6勝。思うように勝ち星を挙げられない原因は投球フォームにある。テークバックからトップの形に入るのが遅いため、どうしても左腕が振り遅れる。そうなると体の開きが早くなるため、抜けた球が多くなり、安定感がなくなってしまう。


腕が振り遅れるから肩肘への負担は大きい。投げ方を見る限り、上半身のコンディション不良は左肘だと思う。故障箇所を隠すより、投球フォームを見直す方が先決だろう。


右打者の内角に決まった球は素晴らしいが、打者はその球をマークする。そこから甘く抜ければ本塁打される確率も高くなり、今季も右打者に9本塁打を浴びている。トータル被本塁打も13本は多すぎる。


そして左打者の内角を投げるのを苦手にしている。被打率は今試合前まで右打者の2割5分5厘に対し、左打者は2割8分5厘。四球数も右打者9個に対し左打者は16個。今試合で左打者の清宮には3回に先頭打者で四球を与えホームに生還され、田宮には2本のタイムリーを打たれている。内角への厳しいコースには1球も投げられず、ルーキーからあった課題も残ったままだ。


指にかかったときのボールがいいだけに、つい厳しい指摘になってしまう。岸は38歳、田中将は34歳になり、全盛期は過ぎている。防御率はリーグワーストで、早川の成長がなければ、この先も苦しい状態は続くだろう。


打線は4番の浅村が本塁打トップに並ぶ26号を放ち、同点タイムリーも放っている。それでもセカンドの守備は衰えが目立つ。ファーストかDHをメインに起用した方がいいのではないか。チーム改革の遅れが、4位で苦しんでいる原因だと思う。(日刊スポーツ評論家)