しかし、下の小論文はさすがに予備校講師らしいきちんとした内容で、野球についての知識もかなりあるようだ。その意見も非常にまっとうである。
この記事はかなり前に書いたものらしいが、プロ野球の状況はまったく変わっていない。つまり、この批判は今も有効である。
(以下引用)
しかし、日本の場合、さらに問題があります。
⑤ 育成選手制度とルール5ドラフトの不在
近年育成選手という実に胡散臭い制度が導入されました。巨人の場合、この育成選手からかつての新人王松本選手や山口選手を輩出し、、今年の場合横浜の国吉投手が話題となりました。
この育成選手ですが、人数を見ると現在横浜は2人、巨人はなんと21人です。(ちなみに阪神は12人。)横浜は昨年来の球団譲渡問題もあって、こういうところも強化不十分なのです。そして巨人は今年、そのうちの8名に戦力外通告しました。(10月27現在)。例えば川口選手は入団1年目です。1年ですぐにクビを切って、これでも「育成」したといえるのでしょうか? 1年や2年で見切られる選手をとりあえず指名し、ダメならクビ―僕は企業としてのモラルの欠如を感じます。金満球団の資金力を生かした選手の「使い捨て」を見て取るというのは、うがった見方でしょうか? 先のサラリーキャップ制のような総量規制をかけることで、選手との契約ももう少し慎重になるでしょうし、またあまりにも早期の契約解除についての罰則を設ける必要も感じます。いくら実力の世界だとは言っても、もう少し企業のモラルがあってしかるべきです。
さて、皆さんはルール5ドラフトというアメリカのルールをご存知ですか? 要は、選手の飼い殺しを防ぐためのルールで、少し荒っぽくまとめると、一定年月を経てもメジャーに上がれない選手を、他の球団が指名してとっていいというもう一つのドラフトが行われているのです。そしてそこで獲得した選手は、ずっとメジャーで起用することが義務付けられているので、救済制度としてかなりの実効性を持っています。かつてのツインズの大エースで、今故障中もメッツに在籍中のサンタナがその有名な例です。この制度を導入すれば、金満球団が金に物を言わせて取って、飼い殺しにしている選手を、低予算の球団が活用する道が開けます。巨人などは二軍に選手がだぶついているために、上げたり下げたりを繰り返して、実質1.5倍くらいの戦力で戦っている感があります。(それでもやっと3位なのは、原監督の「素晴らしい」采配の賜物です。普通に采配したら、ぶっちぎってしまうところを混セを演出した名プロデューサーと言えるでしょう。 笑)また、ちなみにその上げ下げに関しても、メジャーでは回数に制限があるので、むやみにできないようになっています。こういう点は結構細かくルールが作られてるな、と思うのは僕だけでしょうか?
いかがでしょうか? 以上に示した通り、戦力の均衡という看板は、本当に名ばかりで実際にはこんなに欠陥だらけのシステムの一環として運営されていることがお分かりいただけたでしょうか?(まあ、僕の主観的理解ではありますが。)
では、どう解決していけばよいのか? そもそも戦力均衡を掲げる必要があるのか? その点は稿を改めて書きたいと思います。
マスコミがいくら騒ごうが、今日行われるドラフトに、さほど興味がわかないのは、こういうわけなんです。