日刊スポーツ
「マイナビオールスターゲーム2019」のプラスワン投票による出場選手が9日、発表され、阪神原口文仁捕手(27)が選出された。

原口は、今季、17試合31打数7安打0本5打点、打率.226
箸にも棒にもかからない成績だ。

彼が選出された理由はただ一つ。昨年末、大腸がんと診断され、手術を受けて今季復帰したからだ。
それは本当に素晴らしいと思うが、彼は病気にならなかったらおそらく、はるかに多くの試合に出場しただろうが、レギュラーになるほどの活躍はできず、オールスター選出はなかったはずだ。




原口は2016年にオールスターに選ばれているが、この年は規定打席には達していないものの、オールスター前までに54試合159打数52安打5本塁打22打点、打率.327を記録している。しかも捕手だった。素晴らしい成績だったのだ。

しかし今季は、病気になって回復したことだけが理由で選出された。

MLBでもジョン・レスターのように癌から復活した選手は散見されるが、ろくに成績を上げないうちにオールスターに選出される選手はいない。一人前の好成績を上げてから選出されている。

日本人は、こういうときに物事の判断ができない人が本当に多い。物事を是非ではなく「情」でとらえる。物事を自分で判断していないから、こういうことになるのだ。

津田恒美がわずか49勝90セーブという成績で、野球殿堂入りしたのも同様だ。

いうまでもないが、病気を克服した原口を貶める気は毛頭ない。
しかし、オールスターは今季、優秀な成績を上げている選手によるスペシャルゲームだ。
「病気を克服した」という、まったく別の理由で選手を選ぶのは、プロ野球、オールスターゲームの価値を貶めると思う。

メディアはまた100g90円くらいの安い美談を量産するだろうが、自分たちの信頼性を貶めている。是々非々のことわけができないのなら、ジャーナリズムとは言えない。

原口にはカムバック賞がふさわしい。

プロ野球ファンの民度がここまで酷いのなら、プラスワン投票は「150打席以上」とか「50イニング以上」「25試合以上登板」などの基準を設けるべきだろう。

「それくらいいいじゃないか」という人が大半だろうが、本当に残念なことだと思う。