“4球”に、超一流の神髄がこもった。楽天田中将大投手(32)が7日、沖縄・金武での1軍キャンプで加入後初のブルペン投球を行った。8年ぶりの古巣のユニホームを身にまとい、座った正捕手候補の太田へ40球。ブルペンを独占し、張り詰めた空気感の中、実戦さながらに全球種を試投した。日本仕様への適応は順調で、今月中の復帰登板へステップを踏んだ。


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楽天田中将が“米国流”を加速させる。復帰後初ブルペン。「バチーン!」とはじけるような捕球音が響く。投球後、捕手を務めた太田から「あまり音が鳴らなくてすみません」と謝罪を受けたが「音は気にしなくていいよ」と返した。「自然と力が入りますね。逆に気持ちよくなっちゃいます。向こうに行ってから音は気にならなくなりました」と価値観の変化を明かした。


19年から捕手育成を担当する光山バッテリー兼守備戦略コーチは、ストライク、ボールの際どい球をミットさばきでストライクにする「フレーミング」を推し進める。日本ではミットを止める動きが基本だが米国では主流。今キャンプの捕手練習でも素手で試合球より重い球をつかんだり、チューブで引っ張りながら捕球動作をとるなどの工夫が見られる。


ブルペン投球後に田中将から「際どいところはストライクを取ってもらえるようにキャッチングしてくれたら」と要望された太田は「僕たちも思っていて、田中さんからも言われたので、引き続き練習していきたいです」と自信を深めた。チーム内に、米国の風が早くも吹き込んでいる。【桑原幹久】