逆転優勝がかかる10月へ、アクセルを踏んだ。ロッテが3連勝で、ついに首位ソフトバンクとのゲーム差を「0」にした。


1-0の緊迫を打破したのは、今季19盗塁、スピードスターの和田康士朗外野手(21)だ。7回無死、代走で二塁走者になると、1死三塁から8番藤岡のスクイズで悠々、決勝点となるホームを踏んだ。


陰のヒーローは「ぼく、今日何もやってないですよ」と謙虚に笑い、報道陣の前に現れた。代走に出て、送りバント、スクイズ。「想定通りです」と振り返った。日本ハム・バーヘイゲンの左足が上がった瞬間、一気に右足に体重を移して加速。3秒強、15歩でホームを踏んだ。「もう余裕だなと思いました」とスライディングも避けた。


45日前が懐かしい。8月16日にプロ初スタメン。3安打3盗塁3得点で、バーヘイゲンを崩した。打撃の調子が上がらず、今は試合後半の代走や守備を任される。この日も好走塁と好守備で、タフな終盤にチームを白星に寄せた。「後半の守備はいつもきつい場面。しっかり守れる選手になりたいです」と話す。


チーム打率2割4分3厘は依然、12球団の12位だ。圧倒的な打撃力はない。井口監督も「正直、毎日同じメンバーで勝てるのが理想」と話しながら、チーム戦略部と連携し、打順や戦略を徹底して練る。「うちのチームの戦い方は、こうしないとまだ勝てないメンバーなので」。切り札の和田が一瞬で輝いての、今季18度目の1点差勝利。この方が案外、ロッテに勢いを生む。【金子真仁】