プロ野球はスライダー投手全盛時代に突入
【野球】
2011年7月30日 掲載
武器となる球種がボールの変更で変わってきた
<「とても打てない」とお手上げ>
落ちる球全盛時代だったプロ野球界に異変が起きている。スライダー投手が軒並み成績を上げ、大活躍しているのである。
両リーグの防御率上位を見ると、セは内海(巨)、館山(ヤ)、吉見(中)。パも武田勝(日)、田中(楽)、ダルビッシュ(日)とスライダーを武器にしている投手がズラリと並んでいる。
「スライダー投手がこれだけ大活躍しているのは今年からボールが変わったことが大きな理由でしょう。ボールの縫い目の幅が広くなり、それだけ指の引っかかりがよくなっている。スライダーは変化してからスピードが落ちなければ落ちないほど効果がある。指によく引っかかるからブレーキも鋭くなり、スピードも落ちない。逆にフォークボールは球自体が滑りやすくなったことで、しっかりと挟むために指と指の幅をより広げなければならない。微妙な感覚の差が出てくる」(評論家・小川邦和氏)
ダルビッシュなどは昨年まで4年連続で防御率1点台。縫い目は関係ないかも知れないが、ソフトバンクの小久保はこう言っているそうだ。
「ダルビッシュのスライダーはとてもじゃないが打てない。大きく曲がってなおかつブレーキが鋭い」
縫い目が太いボールになって、決め球であるスライダーが一段と凄みを増しているのである。
内海も今年、これだけ成績(10勝2敗、防御率1.50。昨年は11勝8敗、防御率4.38)がよくなったのも、新球でスライダーの切れがよくなったからだ、と話している。スライダーの切れが増すとともにピッチングに自信が持てるようになり、ストレートやコントロールにも手応えを感じているのであろう。
逆にフォークを武器にする越智(巨)などは落差がなくなり、甘く入って痛打されたり、ベンチをヒヤヒヤさせている。
「スライダーといえば1950年代から60年代に稲尾(和久)さんや池永(正明)が投げて、打者をキリキリ舞いさせた時期があった。稲尾さんのスライダーは曲がってから浮き上がる、池永のそれは直角に曲がるといわれたほどだった。今はその時代に次ぐスライダーの全盛時になっている。そしてそれはプロ野球界にとってもいいことです。そうしたスライダーを打つために打者が研究、工夫すれば、そこで日本の野球がまたひとつレベルアップするからです」(小川氏)
今季のプロ野球は完全に投高打低になっているが、それは単にボールが飛ばないだけではないのである。
落ちる球全盛時代だったプロ野球界に異変が起きている。スライダー投手が軒並み成績を上げ、大活躍しているのである。
両リーグの防御率上位を見ると、セは内海(巨)、館山(ヤ)、吉見(中)。パも武田勝(日)、田中(楽)、ダルビッシュ(日)とスライダーを武器にしている投手がズラリと並んでいる。
「スライダー投手がこれだけ大活躍しているのは今年からボールが変わったことが大きな理由でしょう。ボールの縫い目の幅が広くなり、それだけ指の引っかかりがよくなっている。スライダーは変化してからスピードが落ちなければ落ちないほど効果がある。指によく引っかかるからブレーキも鋭くなり、スピードも落ちない。逆にフォークボールは球自体が滑りやすくなったことで、しっかりと挟むために指と指の幅をより広げなければならない。微妙な感覚の差が出てくる」(評論家・小川邦和氏)
ダルビッシュなどは昨年まで4年連続で防御率1点台。縫い目は関係ないかも知れないが、ソフトバンクの小久保はこう言っているそうだ。
「ダルビッシュのスライダーはとてもじゃないが打てない。大きく曲がってなおかつブレーキが鋭い」
縫い目が太いボールになって、決め球であるスライダーが一段と凄みを増しているのである。
内海も今年、これだけ成績(10勝2敗、防御率1.50。昨年は11勝8敗、防御率4.38)がよくなったのも、新球でスライダーの切れがよくなったからだ、と話している。スライダーの切れが増すとともにピッチングに自信が持てるようになり、ストレートやコントロールにも手応えを感じているのであろう。
逆にフォークを武器にする越智(巨)などは落差がなくなり、甘く入って痛打されたり、ベンチをヒヤヒヤさせている。
「スライダーといえば1950年代から60年代に稲尾(和久)さんや池永(正明)が投げて、打者をキリキリ舞いさせた時期があった。稲尾さんのスライダーは曲がってから浮き上がる、池永のそれは直角に曲がるといわれたほどだった。今はその時代に次ぐスライダーの全盛時になっている。そしてそれはプロ野球界にとってもいいことです。そうしたスライダーを打つために打者が研究、工夫すれば、そこで日本の野球がまたひとつレベルアップするからです」(小川氏)
今季のプロ野球は完全に投高打低になっているが、それは単にボールが飛ばないだけではないのである。