で、調べてみると、今年三月に声明文を出したようだが、果たして、これはマスコミに載ったか? また、この程度の内容で、何か政府を動かす力になるか?
いったい何の役に立つのか、どうにも歯がゆい内容の「声明文」だが、「私たちは活動はしましたよ」というだけで終わらないでほしいものである。もちろん、私はこの組織は欧米の権力拡大の尖兵でしかない、と思っているから、これは厭味である。
誰もが批判しないような人物や組織ほど疑ってしまうというのが私の癖で、スーチーやらダライ・ラマやら赤十字やら、バチカンやら、私は全部詐欺師や詐欺組織だと思っている。
シリア転覆を図る欧米の宣伝活動としてH・R・Wがシリア政府の拷問がひどいとかほざいているので、頭に来て、こんな記事を書いたわけである。
もちろん、この声明文を読んで、「素晴らしい内容だ! これほど福島の人々の役に立つ活動はない」と思う人もいるかもしれない。だが、この声明文の存在を知っている人が、どれだけいるだろうか。つまり、本当は「声明」などしていないも同然なのである。
(以下引用)
日本:福島原発事故から1年 対応まだ不十分
健康と食品の安全性 詳細情報の開示を
(東京)-多くの福島県の住民は、食品や周辺環境における放射線量について基本的な情報と明確な回答を未だに十分には得られていない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。併せて、福島原子力発電所の爆発から1年を前に、被災者の肖像写真をスライドショーの形で公開した。
福島第一原発の爆発は、チェルノブイリ事故以降世界で最も深刻な危機とされている。多くの福島県住民が自分の子どもは放射線被ばく検査をまだ受けられていないと訴えた。また住民たちはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、政府は放射線の健康に対する影響について相反するような内容の情報も提供していると訴えた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は「地震、津波そして原発事故に襲われた日本政府は、直後、その対応に苦悩した。いかなる政府でもあのような危機の最中には混乱するだろう」と語る。「しかし災害から1年が経過した。福島の住民は、自分の食べる食品の安全性や子どもが危険なレベルの放射線に晒され続けていないか、しっかり知る権利がある。」
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、避難地域周辺の四市で住民に対する聞き取り調査を行い、医療と情報へのアクセス、生活環境、生計への影響などを調査した。また、住民の肖像写真も撮影し、証言とあわせてスライドショーの形で発表した。撮影に応じた人びとの多くは、子どもの健康や食品・水の安全性に関する情報の入手に苦労していると述べた。
ある父親は「子ども達のことを考えるとやっぱり(検査を)早く受けさせて、自分の体は大丈夫だっていうことを教えてあげたいんですけど。なかなか個人ではキャパシティーがいっぱいなんですよね。行政がしっかり迅速に動いてくれたらと思うんです。」と語った。
2011年3月11日に日本北東部の沖合で、マグニチュード9.0の地震が発生し、内陸約10kmまで津波が押し寄せた。福島第一原子力発電所への電力供給は遮断され、津波で非常用ディーゼル発電機も水没し、原子炉がオーバーヒートした。原子炉3基のメルトダウンが、周辺地域に放射能をまき散らす結果となった。
日本政府は原発から20km以内を警戒区域に指定し、積算線量が年間20ミリシーベルトに達する恐れのある区域の住民にも避難を求めた。避難区域の外は安全であると公表したものの、日本政府は原発から200km以上離れた地点でも20kmの警戒区域と同レベルに該当するセシウム137の沈着が測定されたとも報告している。
福島県内で暮らす住民にとって食品安全に対する懸念はとりわけ大きい。県は、食品は市場流通前に検査されているとしている。しかし、同地域で生産される食品の放射線量を測定した上で、その結果を住民にしっかり知らせる体系的プロセスの構築は未だ不十分である、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘する。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの聞き取り調査に応じた福島県住民は、市民が自主的に放射線測定を行い始めた例もあると話した。「国や県が提供している情報は、自らを取り巻く危険の度合いを住民が十分理解するには足りていない」と土井は語る。「水道水は誰が飲んでも安全だと言う一方で、子どもはペットボトルの水を飲む方がいいと言うこともあるような状況だ。では実際の危険がどの程度なのか、親たちは明確な回答を得られないでいる。」
親たちはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、学校が配布したガラスバッチで現時点での放射線被ばく量が計測できたものの、過去からの被ばく量も測定するために子どもたちに検査を受けさせるのは難しいと訴えた。県政府は、18歳以下の県民36万人に甲状腺検査を行う方針を発表したが、検査実施の道筋の詳細は未だ不明である。政府は、全ての子どもの放射線影響の検査計画を策定するのではなく、福島県民全員に被爆にかかわるリスクを判断するための健康管理調査アンケートを送付。地震直後に当たる何ヶ月も前の食事や詳細な行動を問うこのアンケートでは、正確に思い出すのが困難であるだけでなく、調査結果の有用性そのものにも疑問があるとの見解をヒューマン・ライツ・ウォッチは示した。
被害地域の来年度の除染計画には約1兆円(130億ドル)が見積もられているが、今後の除染作業をいつどこでどのように行うかの詳細な見通しは示されておらず、多くの福島県民はこれでは不適切だとみている。また、健康被害に加えて、家屋や生計の手段を失った県民も多く、賠償を求める人も多い。
多くの親たちは、子どもの健康に対する放射線被ばくの影響を評価するため、もっと直接的な措置をとって欲しいと訴えた。例えば、尿検査やホールボディカウンターなどの被ばく量に関する明確なデータを示す措置である。
日本政府は「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」及び「子どもの権利条約」の締約国である。両条約とも日本政府に対し、子どもの健康を守り、健康に関する情報を提供し、医療へのアクセスを保証する義務を負わせている。国際法上、医療提供については利用可能なリソースに依ることは許容される一方で、健康に関する情報を恣意的に選んだり公表を控えることは許されていない。
「日本政府は、子どもの健康と安全の確保を最優先課題にすべきである。しかし、不安をかかえた住民たちに対し、除染や健康検査の見通しの詳細をしっかり伝えられていない」と土井は語る。「行政への信頼を回復するためには、一層の説明責任と透明性が求められる。行政はまず、過去から今に至るまでの健康上のリスクについてより明確な情報を提供することから始めるべきだ。」
聞き取り調査からの証言の抜粋
民間で放射線検査をやっているところでも、かなり値が張るし、2~300人の予約が入っているということだったので、それだといつになるかわからなかったんです。子ども達のことを考えるとやっぱり(検査を)早く受けさせて、自分の体は大丈夫だっていうことを教えてあげたいんですけど。なかなか個人ではキャパシティーがいっぱいなんですよね・・・子どもの将来のことが一番心配です。―郡山市で12歳の双子の娘と暮らす父親。福島第一原子力発電所から約60 km
避難して行く人も、戻ってくる人も、ここから出ていかないお母さんもいるんですね。でもみんな自分の判断が正しかったのかわからないんです。「リスクはあるけれど福島にいるって覚悟をしたのか」とよく聞かれます。本心では、わからないんです。正しい判断かどうかがわからない。情報はもう信用できないんですよ。―5歳の息子の母親。福島市在住。福島第一原子力発電所から約60km
人びとには十分な情報は全く伝わっていません。地元の新聞は県の言うことを鵜呑みにして発表することが多い。全国の新聞は発信してるんですけど、あまり地元の人には届かない。インターネット上は変な情報がたくさん飛び交っている。―南相馬市の病院で働く医師。福島第一原子力発電所から約30km