ララァという娘が、ララァが戦場に出る前には一度しか出ないのに、再会したアムロが彼女に深く恋しているかのような描写になり、その回でララァが死ぬ(アムロに誤射される)や、アムロが、まるで最愛の人に死なれたような悲嘆ぶりを見せるのを見て、「おいおい、何だ、これは」と思った視聴者は多かったのではないか。まあ、打ち切りの裏事情を知っていた層は制作陣に同情したかもしれないが、一般視聴者は置いてけぼりである。短縮するならするで、もっといいやり方もあっただろう。
なお、最終回でアムロが死ぬのがもともとの筋だったらしいが、私はその方が「作品として」良かったと思う。敵方キャラは全員死ぬのに(あの描写なら、シャアも死んでいるのが当然である。)味方キャラは最初のあたりのリュウしか死なない、というのは片手落ちで現実味が無いし、主人公のヒロイックさも、戦争の残酷さも伝わらないだろう。アムロというヒステリーの幼児精神のアホが嫌いだからというわけではない。なお、「機動戦士Zガンダム」の第一話も見たが、主人公のカミーユがアムロそっくりのヒステリー我儘無考え坊やであるのにはうんざりした。たぶん、二話以降は見ないと思う。
なお、「ニュータイプ」というネタ(ギミックと言うべきか)は、私が前に嘲笑した、「相手が撃った弾丸やビームを、『撃った後に』避ける」ことが馬鹿馬鹿しいという批判に弁明するために後から付け加えた「言い訳」だったと私は思っている。制作陣が何と言おうとだ。だが、その「後付け設定」が、ガンダムのトレードマークになったのだから皮肉である。
反響・評価
初回放映時の評価と後の社会現象
初回放送時の視聴率は名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%[7]と振るわなかった。
視聴率低迷のため、スポンサーの要望によって量産型の他にいわゆる「やられメカ」を毎回出すことになり、試作機が投入されたという設定で グフやドムなどの新MSやモビルアーマーが登場したが視聴率は好転しなかった[3][註 6]。
視聴率低迷は関連商品の不振につながり[8]、スポンサーから「シャアという陰気なキャラクターがいけない」と指摘され作中でシャアを左遷したが、今度は「何でシャアが出ないのだ」という抗議の手紙が殺到した[9]。こうした手紙は中高生のファンからであり、サンライズ側の当初の狙い通り、本作には中学生以上のファンがついていた[8]。名古屋テレビの関岡渉によると左遷どころか殺す予定だったのをスタッフを説得して取りやめになったとある[10]。
その後もテコ入れが試みられたが(後述)、視聴率も売り上げも挽回できず全52話の予定が全43話に短縮される形の打ち切りとなった[註 7]。
ところが打ち切りが決まった直後から人気が上昇。最終回でアムロは死ぬ予定だったが、関岡が人気の盛り上がりから再放送や続編制作が期待できるため反対して取りやめになった[10]。また、放送当時からアニメ雑誌がたびたび熱意ある特集記事を組むなど、中高生、特に女子を中心に口コミで徐々に評判が高まった[註 8]。放送回数は打ち切り決定当時の43話のままで終了したが、本放送終了後もアニメファンによる再放送要請嘆願署名が行われるなど熱意が衰えず、これらを受けてクローバーは再放送を決定した[11]。こうして再放送、再々放送が重ねられ、世間一般へ本作が浸透していった。再放送では平均視聴率も10%を超え、1981年における関東地区で17.9%、1982年における名古屋地区で25.7%(最高視聴率29.1%)を記録した。