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 ◇セ・リーグ 阪神2―12ヤクルト(2019年9月12日 甲子園)
 阪神は12日のヤクルト戦に2―12で大敗し、前夜復活したばかりの自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が再び消えた。先発の高橋遥人投手(23)が8敗目。2試合連続自己最短の4回降板で自己ワースト8失点に沈んだ。矢野燿大監督(50)は試練を乗り越えることを期待し、最後まで先発起用することを示唆した。
 高橋遥人がめった打ちにあった。一時は防御率1点台を誇った7月とは別人のように。中5日で期した雪辱を果たすどころか2戦連続で自己最短の4回降板。しかも自己ワーストを更新する8失点に沈み、8敗目が付いた。
 「大事な試合を壊してしまって申し訳ないです。もっとやれることはたくさんあったと思う。こうやって期待して使ってもらって任されたのに、情けないし、申し訳ない」
 消え入るような声で猛省するしかなかった。初回から簡単に先手を許した。先頭の広岡に右翼フェンス直撃の三塁打を許し、1死から山田哲にはフルカウントからの146キロを左翼線へ二塁打された。続くバレンティンにも1ボールから135キロのシュートをバックスクリーン右へ軽々と運ばれた。
 4回には無死満塁から中村の犠飛で加点され、1死一、三塁からは一塁方向へのゴロ処理にもたつき、打者走者・奥村へのタッチも空振りして適時失策が付いた。この時点で0―5。継投が早い最近の傾向なら交代でもおかしくない状況で続投し、広岡、塩見にも痛打されてベンチの思いに応えられなかった。苦投を見届けた矢野監督は奮起を望んだ。
 「自分の投球を覚えられて一つの壁だと思う。それをどうするかというところにぶち当たっている。先のある投手なので、これをどうするかが大事。プロは何回も同じ打者とずっと対戦していくわけだから。そこをどうするかやね」
 前回6日の広島戦では投球に精彩を欠いた上にベースカバーを怠ったことに対して降板後のベンチで叱責(しっせき)したばかり。同じような結果で終わっても期待度は変わらない。だから、次回登板に対しても「もちろん」と明言した。5月から先発陣の一人として起用。最後まで貫く方針で、「プロだから、やられたらやり返さないとあかん」と訴えた。
 2桁失点は26試合ぶり。最下位のヤクルトに惨敗し、逆転CS進出の希望がまた薄れた。この一敗を糧に将来のエース道を歩むことが若き左腕に託された使命だ。(山本 浩之)
 ○…高橋遥人(神)が自己最短の4回で、18年4月22日巨人戦と19年8月2日広島戦での7失点を更新する自己ワーストの8失点。1試合5失点以上は今季5度目で、特に8月以降の4試合はいずれも自己ワーストの1回5失点を記録した。