表現が面白い。「マイナーで500打席必要」という言い方は日本では耳にしたことがない。日本なら「1年間は二軍で鍛えるべき」という言い方をするのではないか。500打席とは、4で割ると125、つまり1試合4打席で125試合ということだ。要するに「1年間2軍漬けの必要がある」と言っているのと同じである。いずれにしても現在の大谷がマイナーレベルであるという認識があちらでは共通しているようだ。しかも打者としても投手としても、である。
投手としては、他の日本人投手同様に、大リーグのボールやマウンドへの適応に苦しんでいるのだと思う。それに適応できるかどうかは分からない。そもそも大谷は国際試合にほとんど出ていないはずであるから、そういう経験は無いのではないか。今になって、こんなだとは思わなかった、というのなら、あまりに準備不足、不用意だっただろう。打者としては、ネットで言われているように「投手でもある大谷に対して、日本の野球では内角に厳しい攻めをしなかった」のが大きいだろう。それならば、外角に的を絞って打てばいいのだから、日本でなら打撃も楽になる。実際、大谷の打撃は外角を流し打って長打にするのが特徴だった。体重を後ろ足ではなく前足にかけるという妙な打撃方法も、それに合わせた方法だったのではないか。そういう特殊な打撃で大リーグの速球や厳しい内角攻めに対応できるとは思えない。
では、高卒ですぐに大リーグを目指していたら良かったか、と言えば、それこそ大間違いのコンコンチキであり、高卒で日ハムに入ったからこそ順調に育ってあのレベルまで来られたのである。
昔書いたように、大谷レベルの選手はマイナーにごろごろ転がっており、田舎者の日本の高校生がそこでサバイバルできたはずがない。曲りなりにでも日本で大金を稼いだだけでも大谷の野球人生は大成功だったのである。そして、栗山の「二刀流」も大成功したのだ。それが大リーグでは通用しないにしても、それは日ハムにも栗山にも責任はない。大谷は、大リーグで遊んで、しばらくしたら松坂のように日本に帰ってきたらいいのである。そこでまた稼げるだろう。
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- 適時打を打たれ肩を落とすエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
<練習試合:エンゼルス-メキシコ・ティフアナ>◇9日(日本時間10日)◇アリゾナ州テンピ
エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャーの環境への対応に苦しんでいることを吐露した。メキシカンリーグ・ティフアナとの練習試合で、渡米3度目の登板。「引っかけ」や「抜け」が目立ち、3回6安打6失点と乱れた。
ここまで結果の出ない大谷に、懸念を示す米メディアが複数現れた。10日付のヤフースポーツは、8人のメジャースカウトの大谷評を紹介し「メジャーの投手を打てない」と、不安と指摘。全員が「バランス、フォームに欠点がある。結果を出せるまで、マイナーで500打席必要」と異口同音に話したと伝えた。ニューヨーク・ポスト電子版も苦戦する大谷について「途中経過としての苦戦か、それとも深刻なのか」との記事を掲載。ロサンゼルス・タイムズ電子版はこの日の登板を「B試合でA結果が出なかった」と評した。