なお、私は白鳳は好きでも嫌いでもなく、「強いのが勝つべきなのが格闘技だ」という考えからどちらかと言えばこれまでひいきしていた部類であるが、この出来事で愛想が尽きた。朝青龍も横綱としての品位に欠けたが、(品位品位と言いすぎるのは良いとは思わないが、)強ければ何をしても許されるわけではない。
(追記)前記記事を書いてからだいぶ時間が経ったが、先ほど見た「デイリースポーツ」記事がこの出来事の要点を明快に書いているので転載しておく。二人とも手をついて立ち上がった以上、立ち合いは成立しており、その直後に相手にもろ差しを許すという不利な体勢になったからといってそこから「待った」ができるなら、相撲にならない。プロの将棋で「待った」をするというアホな行動が許されるか、というのと同じ話である。白鳳の言い訳も別記事で読んだが、言い訳にも何にもならない。モリカケ問題での安倍総理や菅官房長官の答弁と同じで、論理も何も無い。
「大相撲九州場所・11日目」(22日、福岡国際センター)
結びの一番で前代未聞の“珍事”が発生した。横綱白鵬が関脇嘉風にもろ差しで寄り切られて土俵下に転落した後、右手を挙げて山科審判長(元小結大錦)にビデオ判定を要求した。立ち合いは成立しており、要求は認められず軍配通り嘉風の勝ちとなったが、横綱の品格を問われかねない行為だった。白鵬は後続と1差に縮まったが、依然として単独首位。
満員の館内が騒然となった。土俵下にあお向けに転落した白鵬は、立ち上がると土俵上に戻ろうとせず、右手を挙げて待ったをアピールした。審判が促しても、拒むように土俵に上がらず、山科審判長に何かを訴えかけた。拍手喝采だった館内が、水を打ったように静まりかえった。
約1分後に土俵に上がったものの、嘉風が勝ち名乗りを受けて花道を下がっても、今度は土俵を下りようとしない。前代未聞の光景にざわめきが起き、携帯電話で写真を撮る観客も。弓取り式が始まり、不満げな表情でようやく引き揚げた。
取組後とは対照的にわずか2秒9の相撲は、立ち合いは完全に成立していた。嘉風が両手をついて待ち、白鵬は右手、左手とついて立った。左で嘉風の顔を張って出ていったが、もろ差しを許し、直後に“待った”をアピールするかのように右手を挙げ、力を抜いた。
支度部屋で「待っただと思ったのか?」と聞かれ「まあ、そんな感じですね」と答えた。「納得がいかないというのではなく、呼吸が合わなかった。嘉風関も力を抜いたし、自分も力を抜いた」と続けた。土俵に上がらなかったことには「ビデオを1回見てもらいたかった」と説明。「それは最後にどちらかが死に体だったことも含めてか」と問われ「そうだね」と話した。
優勝39回を誇る大横綱といえども、土俵に上がった力士にビデオ判定や物言いを要求する権利はなく、今回の行為は明らかな“暴走”。横綱の品格を問われるのは必至で、山科審判長は「待ったと言いたいのだろうが、しっかり手はついている。こちらからは(待ったの)声を掛けていない。張っていったし、もろ差しにされて(待ったと)思ったんだろう」と立ち合い成立を明言。12日目にも審判部内で話し合い、厳重注意など何らかの処分を伝える見通しだ。