ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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藤永茂「私の闇の奥」から転載。
「無法松の一生」は、私の世界映画名作ベスト3に入る傑作である。三船敏郎によるリメイク版も好きで、無法松という人間のキャラクターとしてはむしろ、ユーモアのある三船敏郎のほうが勝っているとすら思う。ただ、佐藤何とかという映画評論家も言うように、阪東妻三郎という俳優の笑顔には「明治の男」の豪快かつ爽快な雰囲気が溢れているので、やはり時代の匂いという点では阪妻版のほうが上かもしれない。
ついでながら、阪妻の無声映画「雄呂血」は、最後の15分の剣劇アクションが素晴らしいので、(見る者の血がどんどん高揚していく。まさに「雄」の「血」が湧く場面だ。)見る機会があればお勧めする。ただし、伴奏音楽との兼ね合いで素晴らしいので、その音楽次第だ。また、最後の15分間に至るドラマはプロレタリア文学めいた「侍悲劇」の描写なので、少しも楽しくない。しかし、その心理的抑圧があってこそ、最後の「解放」の15分間が圧倒的なものになるのである。
(以下引用)
NHK・BSスペシャルに感謝:『無法松の一生』(1943年)
2023-09-02 15:20:52 | 日記・エッセイ・コラム
8月31日午後1時から2時40分までNHKのBSスペシャルで「『無法松の一生』(1943年)―その数奇な運命―」という番組が放映されました。稲垣浩監督、伊丹万作脚本、宮川一夫撮影、主演者は阪東妻三郎、園井恵子、その他・・・。映画そのものの長さは80分、後は今回NHKのスタッフによって新しく作られたドキュメンタリーです。
1943年といえば、1945年敗戦の2年前、よくぞこの映画を創ってくれたと、遅まきながら、これらの映画芸術家達に尊敬と感謝の気持ちを表明せずには居れません。この映画が、内務省の厳しい検閲とカットの要求に苛まれながら、ともかくも公開された頃、私はそんなことは何も知らず、学徒として動員され、神戸製鋼という会社の門司工場で一生懸命高射砲砲弾の薬莢を作っていました。宿舎で魚の「はらわた」100パーセントのハンバーグのような物を食わされ、ペコペコの空腹だったとはいえ、その苦さ不味さに辟易したことを今もよく憶えています。そんな時に、稲垣さんたちは、この“人間讃歌”を歌い上げたのです。これは見るものの臓腑に染み渡る反戦の歌です。
映画としても日本映画史上に燦然と輝く名作として一般に讃えられているようで、当然のことです。しかし、私はこのNHKの番組で初めて見ることができました。三船敏郎/高峰秀子出演の1958年のリメークも私の大好きな映画ですが、今回、1943年のオリジナル版で、阪東妻三郎と園井恵子の熱烈なファンになってしまいました。
しかし、それだけではありません。後半のドキュメンタリーを制作した人達も稲垣さんのチームと同一の高い志を持った芸術家たちです。志もメッセージも全く同じです。想を凝らし丁寧綿密に創り上げられています。NHKが置かれている現在の環境を考えると、この仕事は我々の深い感謝に値します。この1時間40分のプログラムを視聴する手段をお持ちの方々は是非ご覧ください。
私は園井恵子という俳優さんにすっかり惚れ込んでしまいました。国書刊行会という出版社から『園井恵子 原爆に散ったタカラジェンヌの夢』(千和裕之著、2023年)という本が出ています。そのうちに読むつもりです。
藤永茂(2023年9月2日)
「無法松の一生」は、私の世界映画名作ベスト3に入る傑作である。三船敏郎によるリメイク版も好きで、無法松という人間のキャラクターとしてはむしろ、ユーモアのある三船敏郎のほうが勝っているとすら思う。ただ、佐藤何とかという映画評論家も言うように、阪東妻三郎という俳優の笑顔には「明治の男」の豪快かつ爽快な雰囲気が溢れているので、やはり時代の匂いという点では阪妻版のほうが上かもしれない。
ついでながら、阪妻の無声映画「雄呂血」は、最後の15分の剣劇アクションが素晴らしいので、(見る者の血がどんどん高揚していく。まさに「雄」の「血」が湧く場面だ。)見る機会があればお勧めする。ただし、伴奏音楽との兼ね合いで素晴らしいので、その音楽次第だ。また、最後の15分間に至るドラマはプロレタリア文学めいた「侍悲劇」の描写なので、少しも楽しくない。しかし、その心理的抑圧があってこそ、最後の「解放」の15分間が圧倒的なものになるのである。
(以下引用)
NHK・BSスペシャルに感謝:『無法松の一生』(1943年)
2023-09-02 15:20:52 | 日記・エッセイ・コラム
8月31日午後1時から2時40分までNHKのBSスペシャルで「『無法松の一生』(1943年)―その数奇な運命―」という番組が放映されました。稲垣浩監督、伊丹万作脚本、宮川一夫撮影、主演者は阪東妻三郎、園井恵子、その他・・・。映画そのものの長さは80分、後は今回NHKのスタッフによって新しく作られたドキュメンタリーです。
1943年といえば、1945年敗戦の2年前、よくぞこの映画を創ってくれたと、遅まきながら、これらの映画芸術家達に尊敬と感謝の気持ちを表明せずには居れません。この映画が、内務省の厳しい検閲とカットの要求に苛まれながら、ともかくも公開された頃、私はそんなことは何も知らず、学徒として動員され、神戸製鋼という会社の門司工場で一生懸命高射砲砲弾の薬莢を作っていました。宿舎で魚の「はらわた」100パーセントのハンバーグのような物を食わされ、ペコペコの空腹だったとはいえ、その苦さ不味さに辟易したことを今もよく憶えています。そんな時に、稲垣さんたちは、この“人間讃歌”を歌い上げたのです。これは見るものの臓腑に染み渡る反戦の歌です。
映画としても日本映画史上に燦然と輝く名作として一般に讃えられているようで、当然のことです。しかし、私はこのNHKの番組で初めて見ることができました。三船敏郎/高峰秀子出演の1958年のリメークも私の大好きな映画ですが、今回、1943年のオリジナル版で、阪東妻三郎と園井恵子の熱烈なファンになってしまいました。
しかし、それだけではありません。後半のドキュメンタリーを制作した人達も稲垣さんのチームと同一の高い志を持った芸術家たちです。志もメッセージも全く同じです。想を凝らし丁寧綿密に創り上げられています。NHKが置かれている現在の環境を考えると、この仕事は我々の深い感謝に値します。この1時間40分のプログラムを視聴する手段をお持ちの方々は是非ご覧ください。
私は園井恵子という俳優さんにすっかり惚れ込んでしまいました。国書刊行会という出版社から『園井恵子 原爆に散ったタカラジェンヌの夢』(千和裕之著、2023年)という本が出ています。そのうちに読むつもりです。
藤永茂(2023年9月2日)
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