勉強になる記事だが、コスパばかり考えて、好きでもないものを飲食するのは馬鹿だろう。
それにしてもコーラ100円の原価5円、ポテト250円の原価5円は驚いた。
また、飲食店の全体としての利益率が8%しかないのも驚きだ。これでは廃棄物だけですぐ赤字になりはしないか。税金などもこの「利益構造」表に書かれていないのだが、実際にはいくら稼いでも赤字という店が案外多いのではないだろうか。商売をやればやるほど足が出る、ということ。飲食業で3年以上保っている、という店は案外多くないような気がするし、多くの店では、自分の店の「利益構造」を把握していないという気がする。税金、雑費、あるいはあまり意識には上らないヤクザへのみかじめ料など、ちゃんと計上しているのだろうか。何か事故でもあった場合を考えると、利益率8%では安全な営業はできないように思うのだが。
(以下引用)
ぼったくられないための「モノの原価」大辞典(プレジデント)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/299.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150309-00014752-president-bus_all
プレジデント 3月9日(月)9時15分配信
飲食店の利益構造
知っていそうで、意外と知らないモノの原価。数字のわかる大人の嗜みとして、知っておきたい飲食店の利益構造を飲食店コンサルタントの齋藤俊成さんに解説していただいた。
昨年末、高額のチャージ料などを請求されボッタクリだと利用客がツイッターに伝票の写真を添えて投稿したことから、店に批判が集中。運営元が謝罪し、当該店舗の閉店という騒動はまだ記憶に新しい。同じく昨年末には、某評論家が「『獺祭磨き二割三分』の1合3000円という値付けが適切かはなはだ疑問。便乗商法か」といったツイートをしたところ、そんなことはないだろう、とこれまた批判の的にされた。
そもそも飲み屋の原価とはなんだろう? 大手飲食チェーンに勤務後、現在は飲食店のコンサルタントを行う齋藤俊成さんにお話をお聞きした。
「飲食店の場合、原価は基本的に材料費として考えていただいて結構です。
まず、一般的な飲食店の利益構造から簡単に申し上げます。それぞれ売り上げに対しての割合ですが、メニューの材料費すなわち原価が約30%。次に人件費がやはり約30%。水道光熱費や販促費用、クリーニング代などの諸経費が約12%。店の賃料が約10%。減価償却費10%。残りの約8%が利益です。この8%をとるために、どうするかが問題となるわけです。
今はずいぶん変わってきてもいるのですが、これが『FL60』(F=food〈原価〉、L=labor〈人件費〉の合計を60%以内でコントロールするという意味)と呼ばれる1970年代にアメリカからチェーン店の指標として導入された考えです」
前述の獺祭の件でも「その獺祭の価格は1升2万円以上する。つまり、1合で2000円以上するのだから3000円は原価率67%。むしろ良心的ではないか」という書き込みに同意する意見が大半であった。
では、一般の飲食店の価格はどうやって決まるのだろう。
「店をつくる際はまず売り上げ予測から始めます。売り上げ=客数×客単価です。高級店ですと、ゆったりとしたスペースで客数は少ないが客単価を高く、大衆店はこの逆で、値段が安いぶん、回転を上げて客数を増やすというように、坪当たりの売り上げから逆算してメニューの価格設定をします。東京郊外で月の坪当たり売り上げが15万円でまあまあ、20万円だと優良店といわれます。
チェーン店の原価の目安(PIXTA=写真)
値ごろ感も重要です。おつまみ300円の店で、原価1000円だからといって1杯3000円のお酒は売りにくいでしょう。原価率30%と適正でも、売れなければ意味はありません。
原価率を下げることが儲けのすべてのように誤解されがちなのですが、そういうわけではなくて、個人経営の飲食店の場合なら、原価率を下げるよりも粗利額をいかに確保するかということのほうが重要でしょう。
例えば原価が100円のものを300円で提供すれば、原価率は33%ですが、粗利額は200円。一方、原価が1000円のものを1500円で提供すると、原価率は67%ですが粗利額は500円。正直、原価率なんてどうでもよくて、いくら儲かるのかを重視しています」
では、客としてコスパのよい商品はどんなものなのだろう。図は我々が日ごろ利用するチェーン店の原価の目安である。
やはり「ビール」は原価率が高く、○○割りと言われるものの原価率は低い。スーパーでビールの値段を知る我々としては、同じものに3倍(原価率33%)の金は払わないだろう。というわけで、店側はビールの価格は抑えざるをえず、儲けは少ない。ビールばかり注文する客はあまり歓迎されないわけである。
「酒類は小売値と仕入れ値の差があまりなく、飲み屋だからといって、それほど安く仕入れることはできません。店は儲からないから売りたがらない。ビール離れといわれていますが、当然ともいえます。店としてはサワー推しなわけですから」
店側からすると、「集客商品」と「儲け商品」があると齋藤さんは続ける。
「『集客商品』とはマクドナルドのハンバーガー、吉野家の牛丼など、店を代表する商品です。看板メニューなので下手なものは出せませんから材料費は高くつく。一方で、お客様を集めるための商品ですから、価格を高く設定することもできません」
例えば、牛丼の並盛は生肉を約80~90グラム使っているが、100グラム100円程度の肉は仕入れているという。ファストフード店のチーズバーガーの原価率は70%、焼き肉チェーンの主力商品であるカルビや牛タンも60%程度といわれている。それで儲かるのだろうか?
「彼らの商売のポイントはそこにはありません。原価の安いポテトやドリンクなどの『儲け商品』であるサイドメニューとのセット売りにすることで、トータルの原価率を下げて稼ぎたいと思っているのです」
駅の立ち食いそば屋などでは、そば単体も天ぷらなどの揚げ物も原価率は30%程度だが、天ぷら1枚乗せても人件費も客の滞在時間も変わらない。であれば、トッピングの追加で客単価を上げて、粗利額を増やそうというのが狙いである。
コスパのよいチョイスの目安のひとつが「本日のおすすめ」メニューだと齋藤さん。
「店の評判、リピーターの獲得も兼ねているので、原価率が高い。つまり、よい素材のものが多いといえます」
矢野貴之=構成 PIXTA=写真