「LV１魔王とワンルーム勇者」第六話くらいまで見たが、タイトルもいいし、設定もいい。キャラの性格も悪くない。しかし、設定があまり生きていない。それに、話の背景が「ほぼ現代世界である」というのが難点だ。つまり、「異世界冒険」のワクワク感がゼロである。これは多くの異世界ものの欠点で、背景描写が粗末なのである。西洋中世の街並みや自然をまったく無視しているため、「異世界感」が無い。RPGでは原則として異世界とは西洋中世とほぼ同義なのである。それはRPGを土台とする異世界アニメでも同じことだ。そうした風物を無視したら、情緒も糞もない。
ほかにも文句があり、せっかく「ワンルーム勇者」という面白い設定を用意したのに、話が単なるＲＰＧ的バトル中心である。まあ、これは「働く魔王さま」でも陥った欠陥だ。

話を現代が舞台の話にするより、「勇者が魔王を倒した後、失業して、魔王と手を組んで世界征服を企む」、とでもしたら話も無理がなく、「勇者（性格は善良なまま）が世間から悪役視される」面白さも出たのではないか。何しろ、ＲＰＧでは、勇者が魔王を倒した報酬が曖昧なのである。べつに強欲であれとは言わないが、「ひのきの棒」と「２０Ｇ」だけ（２千円くらいか）で、魔王を倒せと命令するような王様に、何の義理があるのだろうか。

転落魔王が小学生低学年の「パタリロ」みたいな体型の子ども（幼女？）というアイデアはいい。パタリロ体型だからロリコン対象にはならない。先ほど言ったアニメでは、時々グラマーな成人女性体型になるが、不要だろう。魔王だけに頭がよく、人間をさほど信じていないから、お人よしの勇者のように馬鹿を見ることもないわけだ。そこがコンビの価値だ。
まあ、「世界征服」ではなく、「無理なく幸福に暮らせる」だけが望み、としてもいい。就職氷河期時代の人間には刺さる話ではないか？