日本の一流投手は大リーグとほぼ同じ(まあ、日本の特AがAかBくらいに相当するだろうが、大リーグでの特Aは数名程度だろう。Bレベルでも10勝級の投手であり、選手価値は高い。)だが、打者の差は大きい。イチローレベルでないと本当には通用しないのだが、イチローは日本で7年連続首位打者という真のレジェンド打者なのだから、そんな選手でないとあちらでも一流とはいかない。
で、日本の投手が大リーグで通用するかどうかはあちらのボールを自由にコントロールできるかどうかというのが最大の問題点で、マウンドの違いがそれに次ぐ。後は、中5日や中4日システムに耐えきれるかどうかだ。先発投手の数を少なくするというのは、優秀な先発投手の数がそれだけ少ないからだろうが、大リーグの投手の故障の多さを考えれば、やはり先発6人制というのが妥当だろう。投手一人当たりの給与は削減されるかもしれないが、それで投手の平均的選手寿命は長くなるはずだ。
(たとえば、先発投手がA,A,A,A,C,Dしかいないなら、どの監督も先発を4人だけで回したいと思うだろう。妥協してもCを入れて5人までだ。それが大リーグ式である。仮に、Dレベルの投手が安く使えても、そういう投手は「要らない」のである。そういう投手を使えば明らかに大きく不利なのだから。たとえ投手たちが酷使で故障しても、それは投手たち自身の問題、として無視しておけばいい。監督の役目は選手の保護ではなく、「勝つこと」だから。)
大谷の話に戻れば、張本が言うように、下半身の弱さが制球の不安定さの一因かもしれない。大谷の体形はどう見ても野球選手タイプではない。江川のように、下半身がどっしりしているのが投手としては理想的なのだが、大谷があの体形でも「やって来られた」のは、やはり優れた運動能力のおかげだろう。だが、投手というのは、運動能力よりも、正しい投げ方を正確に繰り返せるということのほうが大事ではないか。不細工な体形のデブ投手が結構活躍しているのはそういうことだ。
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- 3回にハンカードへ死球を与え、天を仰ぐエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
<練習試合:エンゼルス-メキシコ・ティフアナ>◇9日(日本時間10日)◇アリゾナ州テンピ
エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャーの環境への対応に苦しんでいることを吐露した。メキシカンリーグ・ティフアナとの練習試合で、渡米3度目の登板。「引っかけ」や「抜け」が目立ち、3回6安打6失点と乱れた。
「あーっ!」。練習試合で客席もまばらとはいえ、マウンドの大谷の声が、球場全体まで響き渡った。3回無死一塁。4番の右打者ハンカードへ、この日2つ目の死球を与えた。90マイル(約145キロ)の直球は制御不能だった。「試合レベルで投げたときの引っかかり具合とか、抜け具合だったりとか、そういうのは(課題として)はっきりしてきている。ボールやマウンドの違いだったりのアジャストは、やっぱり慣れていない」。思うように投げられないジレンマが、言葉の端々ににじんだ。
直球やカーブの「抜け」に加え、決め球であるはずのフォークが制球できない。2回1死までに投じた3球のうち、2球がワンバウンド(1つは暴投)。以降は封印し、2ストライクに追い込んでも、スライダーに頼るしかなかった。それでも「捨てるわけにはいかないボール」。フォークの精度を高めなければ、投手として生き残っていけない。まずは昨年までと「変えずに」キャンプ入りした大谷だが、「引っかける傾向を頭に入れながら、ブルペンで投げられれば」と、“メジャー仕様”のフォークへ改良を加えていくことにした。(米アリゾナ州テンピ=本間翼、斎藤庸裕)