試合の鍵はこの回だっただろう。1死からの死球が代走植田の足によって三塁打同様の1死3塁となり、梅野が見事に犠飛を打って1点をもぎ取った。
横浜にはできない野球がこれである。バットを振り回すだけの大雑把野球が、1点を大事にする野球の前に敗れたということだ。
最後の打者が、昨日ホームランを打った乙坂のピッチャーゴロというのも象徴的だ。昨日は、バントの可能性もある、という場面で岩崎が投げた(つまり、勝負球ではない)球を打って、それがたまたま大当たりしたということだ。ここは、バントで2死2塁にして次打者(ヒットで十分)に賭けてもいい場面(1点取ればサヨナラ勝ち)だったのである。つまり、解説の佐々木が言った(らしい)「ここはバントでしょう」が正しい。ホームランによるサヨナラ勝ちは派手だが、その派手さに目がくらみ、ファンもそれで喜んでいる。だが、そのために「より確率の高い野球」が無視されているのがラミレス野球である。
横浜球場は狭いからホームラン狙いは当然だ、と言う馬鹿がいるかもしれないが、どんなに狭い球場でもホームランが打てない打者もいるし、打てる打者でも年間50本打つわけではない。1点が必要な時にはバントも盗塁も大きな価値がある。ホームラン好きの馬鹿ファンがバント軽視論を言い立てるから、横浜の野球は進歩しないのである。
なお、私は強打者を揃えた野球が嫌いというわけではない。だが、それならホームランバッターを最低でも5人は揃えないといけないだろう。その中には宮崎は入らない。彼は「時々はホームランも打つ」打者であり、ホームランバッターではない。打順も7番くらいがベストだろう。
つまり、親会社というか、球団側がカネを出して、強打者を後2人揃えないと、優勝を狙えるチームにはならないし、今季の儲けでそれは楽にできる話だろう。
前に書いたように、先発投手陣にはSクラスはいないが、Aクラスが揃っている。そこが横浜の最大の強みである。後は、強打者を2人迎え入れるか、「1点が必要な時に1点を取れる野球」を厳しく仕込むかだけだ。
(追記)今、蔵さんのツィッターを見たら、こういう言葉が書かれていた。第一戦のことはもう記憶の外にあったが、まさに蔵さんの言う通りである。つまり、あれが横浜野球(ラミレス野球)の象徴なわけだ。シーズン前半にその馬鹿野球がたくさんあるのが特徴であり、後半の追い上げでいつもその責任は問われなくなる。好き嫌いで選手を起用し、選手の好調不調を見ていない。そもそも自軍の選手をロクに見ていない。二軍選手など見たこともないだろうし、その成績すら知らないだろう。(二軍から一軍に上がる選手が、「えっ、なぜこの成績で」ということがよくあるし、そういう選手はまず働けないし、ロクに使われないでまた二軍落ちする。)巨人の原監督は、シーズン前半でいろいろな選手を試して、「使える選手使えない選手」を見極め、後半でその見極めを活かして試合をするから優勝できるのだ。だが、ラミレスはシーズンの最初から、「レギュラー認定」したら、不調な選手でも強引に使い、若手や好調選手の出場機会を奪うから、選手が腐っていく。そしてシーズン前半はだいたい最下位争いをする。前半戦の借金のために、いくら追い上げても、結果的にはAクラス入りはできても優勝は不可能、となる。
◇セ・リーグCSファーストS第3戦 DeNA―阪神(2019年10月7日 横浜)
先制しながらも7回に追いつかれた阪神だったが、終盤の8回に勝ち越した。
この回からDeNAは3試合連続でエスコバーが登板。1死から高山が死球で出塁すると、矢野監督は代走で植田を送り込んだ。植田は続く梅野への初球で迷うことなくスタートし、二盗を成功させた。昨日の試合も7回に代走として出場し、二盗を企図も阻止されていたが、この日は決めてみせた。さらに梅野への5球目でエスコバーが暴投し三塁へ進むと、梅野が中堅へ放った当たりで快足を飛ばし本塁へ。中堅・神里の送球よりも一足早く滑り込み、勝ち越しのホームを踏んだ。
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